三谷クラスの秀才4人 ページ11
先生は笑いながら、最後に私の肩に手をのせた。
「この子の名前は、立花彩。クラスは受験Bだが、国語がバツグンにできるから、今週から特別クラスに参加する。なかよくしろよ」
皆が、まっすぐ私を見た。視線が痛い。私は黒木と小塚の間の空間を一点に見つめる。
「これからは、男だけのノリはやめるんだ。いいな」
つまらなさそうな息が、教室中に広まった。もう少し隠せよな……別にいいけどさ。所詮、目の前にいるのは私よりも(精神年齢が)歳下のガキ……じゃなかった、子供なんだから。
「じゃ立花、受験Bに戻っていいぞ。授業が終わったら、もう一度ここに来てくれ。特別クラスのテキストを用意しておくからさ」
「はい」
先生に顔を戻して返事をする。先生はそれを確認すると、励ますようにうなずいて、ドアから出ていった。私も続こうとすると、若武に呼び止められる。
「立花」
ふり向くと、若武がこちらを見ていた。
「あいさつは?」
「……こんばんは?」
「違う、そのあいさつじゃない」
どのあいさつだよ。
「前からいる俺たちに、ちゃんとあいさつしろって言ってるんだ」
あー、はいはい、そういうあいさつね。私はため息をつくのを堪えて体を4人に向けると、嘲笑うような笑を口元に描いて口を開いた。
「あらめまして、立花彩です。これから、よろしくお願いします。数の上杉サン、シャリの小塚サン、歳上キラーの黒木サン、そして人間とポストの違いも分からないいばり屋の若武サン」
丁寧にサンなんてつけたけど、これから呼び捨てだからよろしく……と心の中で付け足す。私のあいさつに、反応は3つに別れた。
上杉と小塚はプッと吹き出し、黒木はキラリとその目を光らせ、若武はムッとして私をにらんだ。
「なかよくしましょーね」
最後に満面の笑みを浮かべると、若武が私の名前を呼びながらつっかかろうとしてきた。私は右足を軽く後ろに引き、背中を少しだけ丸めて、いつでも応戦できるようにする。だけど、そんな若武を、黒木が止めた。
「やめなよ、若武。おまえの負けだ」
そうして黒木は、少しまぶしそうに目を細めて、私を見た。
「なかなかしゃれたあいさつだったよ、立花彩。さすが国語のエキスパートだ」
私は背筋を伸ばして足を元に戻すと、軽く頭を下げる。
「君の能力を認めるよ。仲良くしようぜ。ただし」
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月光 - これで完結なんですね。少し寂しいですけど次回作に期待をしています (2023年2月24日 21時) (レス) id: 745fe595d9 (このIDを非表示/違反報告)
輪廻 - 続きください。マジで (2023年1月25日 12時) (レス) id: aa8a8e07b8 (このIDを非表示/違反報告)
輪廻 - 続き無いですか? (2023年1月25日 12時) (レス) @page17 id: aa8a8e07b8 (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢 - 続きはどこですか…? (2022年11月12日 20時) (レス) @page17 id: 6cf52056ac (このIDを非表示/違反報告)
二葉亭芥(プロフ) - すみません、この作品に使われているCSSって何ていうんでしょうか?綺麗だなって思って、初めボードとかで聞こうと思ったのですが、ユーザーが見つかりませんと表示されてしまいまして。コメント欄でこんなことを聞いて申し訳ありません。勿論作品とても好きで! (2022年10月2日 21時) (レス) @page1 id: ee57b0adf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あっぷるぱい+しょーとけーき=最高────? | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mukiryoku13/
作成日時:2022年7月28日 22時