相違 ページ27
「なぁ、涼木……」
朝日奈くんの熱っぽい顔が首筋に落ちてきてびくりと肩が跳ねる。
未だに私はこの状況も、彼の云ったことも、自分の感情も、何もかも把握出来ていなくて。
ただ彼にされるがまま呆然と何処か一点を見つめていた
「……いいか?最後まで、しても」
返事は出来なかった。
けれど無言を肯定と取ったのか、朝日奈くんはするりとシャツに指を滑り込ませる。
丁度背中の辺りをなぞりながら私の項、耳朶の裏、肩から鎖骨への筋に舌を這わせて、後頭部にも手を回しながら髪を撫ぜた。
違う
ぽつんと、その一言がなぜか浮かび上がってきた
最初はなんでもなくただ心の中で思った言葉だったが、やがてその動詞は私の中で明確な形を浮かび上がらせてくる
(違う)
触る指も、撫でる手つきも、息遣いも、匂いも、吐息も、眼差しも、熱も
全てが違う
何と?
何と、違う?
誰と、違う?
私は、さっきから
_____________誰と比べている?
(厭だ)
気付きたくない。
誰と比べているのか、朝日奈くんに重ねて誰を通して見ているのか、誰と比べて違うと落胆しているのか、その全てに気付きたくなかった。
気付いたら壊れてしまうと思った。
何が?
(私が)
どうして?
(あの人だから)
どうして?
(……இஇだから)
どうして?
(……知らない)
嗚呼、そうか
(私は)
あの人が
___________
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陽毬 - 釣り合わないから自分は好きではないと言い聞かせる、共感を煽る描写がめっちゃ好きです……。起承転結綺麗にまとめあげているし、普通の本では難しい掛け合いが凄く好きです。ありがとうございましたm(_ _)m (2022年7月29日 3時) (レス) @page33 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
メープル - 完結おめでとうございます!夢主ちゃんが太宰さんに好きと嫌いを何回も言うシーンが泣いてしまいました…。私も太宰さんを初めて好きになったときが夢主ちゃんみたいな状態だったので(夢主ちゃん程可愛くはありませんがw)凄く共感できました!素敵な作品を有難うございます! (2017年6月25日 8時) (携帯から) (レス) id: f962e3e675 (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - ゆーあさん» 更新ノロマですみません!。゚(゚^ω^゚)゚。谷崎さんは幼馴染みで兄のようなものなので男としては見ていない……という設定です(`・ω・´)決して谷崎さんに魅力が無いとかいう訳ではなく!!:(;゙゚'ω゚'): (2017年6月18日 21時) (レス) id: bc55e42e35 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーあ - 久しぶりに見たら更新たくさんされててヒャッホオオォォ!てなりました。男の人の家に行ったこと無いとは谷崎さんは男の人とカウントされていないのだろうか。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5ac2a3e4cf (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - Aliceさん» あああすみません!すぐ修正しました!!(´;ω;`)御指摘ありがとうございます!。゜(´^ω^`)゜。 (2017年6月2日 20時) (レス) id: bc55e42e35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月7日 19時