親友 ページ19
「いらっしゃいですわお姉様!」
「おじゃましまーす……」
探偵社からの帰り、谷崎家に来させて貰った。
潤くんはまだ仕事があるらしいけど、私達バイト事務員は早めにあがったのだ。
「お姉様とお泊まりなんて本当久しぶりですわ!ナオミ、とても楽しみにしていましたのよ!」
「私もすごく楽しみだったの。
潤くんの手料理久しぶりだし……ナオミちゃんに話したいことも沢山あるし」
「あら。お話なら毎日していますのに、何か積もる話でもあるんですの?」
あります、ナオミちゃん。
親友の貴方にしか話せないことが。
「……うん。
潤くん帰ってくるまでに話したいことがあるんだけど……いいかな?」
「……姉様がそんな風に仰るなんて、余程のお話なんですわね」
いいですわ、と言ってナオミちゃんは一旦温かいお茶を淹れに行った。
差し出された湯呑みから出る白い湯気に冬の寒さを感じつつ、私は今まで誰にも相談できなかった『あの人』のことを話し始めた
*̣̩⋆̩♢⋆̩*̣̩
「……ってことなんだけど。まぁつまり纏めると私、太宰さんのことを好きになっちゃったらあの人と心中しなきゃいけないの」
基本黙って話を聞いてくれるナオミちゃんですら、私が太宰さんに無理心中を謀られたことを話すと「えぇーっ!?」と彼女らしくない声を上げて驚いていた。
まぁそりゃ、あの人の私は殆ど接点も無かったし驚くよね。
「……お姉様、相変わらずの巻き込まれ体質ですのね」
ナオミちゃん、その同情するような表情やめて下さいな。
相談を受けた第一声にしては悲惨すぎる。
「うん……もう本当あの人には迷惑しまくってるの。何考えてるかよく分かんないし、ただ私への嫌がらせとしてこんなことしてるのかも」
「その可能性は低いですわ。太宰さんは女性への嫌がらせにこんな回りくどいことはされないと思いますし」
「しそうだよぉ……あの人は悪魔だもん!」
机に突っ伏すと、相談して興奮したのか火照った頬にひんやりと冷たい感触がした。……机、気持ちいい。
「……それにしても太宰さん、随分お姉様に有利な契約をしたものですわね」
机に突っ伏したまま「えー?」とくもった返事をすると、ナオミちゃんは考え込むような声色で返事をした。
「だってもしお姉様が太宰さんのことを想ったとしても、黙っていれば済む話ですもの。契約も何も、姉様しか知ることの出来ないものですわ」
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陽毬 - 釣り合わないから自分は好きではないと言い聞かせる、共感を煽る描写がめっちゃ好きです……。起承転結綺麗にまとめあげているし、普通の本では難しい掛け合いが凄く好きです。ありがとうございましたm(_ _)m (2022年7月29日 3時) (レス) @page33 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
メープル - 完結おめでとうございます!夢主ちゃんが太宰さんに好きと嫌いを何回も言うシーンが泣いてしまいました…。私も太宰さんを初めて好きになったときが夢主ちゃんみたいな状態だったので(夢主ちゃん程可愛くはありませんがw)凄く共感できました!素敵な作品を有難うございます! (2017年6月25日 8時) (携帯から) (レス) id: f962e3e675 (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - ゆーあさん» 更新ノロマですみません!。゚(゚^ω^゚)゚。谷崎さんは幼馴染みで兄のようなものなので男としては見ていない……という設定です(`・ω・´)決して谷崎さんに魅力が無いとかいう訳ではなく!!:(;゙゚'ω゚'): (2017年6月18日 21時) (レス) id: bc55e42e35 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーあ - 久しぶりに見たら更新たくさんされててヒャッホオオォォ!てなりました。男の人の家に行ったこと無いとは谷崎さんは男の人とカウントされていないのだろうか。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5ac2a3e4cf (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - Aliceさん» あああすみません!すぐ修正しました!!(´;ω;`)御指摘ありがとうございます!。゜(´^ω^`)゜。 (2017年6月2日 20時) (レス) id: bc55e42e35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月7日 19時