信仰40 ページ43
私はデスクに座り、太宰さんの方を向かされていた。
一方太宰さんは目を伏せて何も喋らないままこちらを向いていたがその様子はどこか怒りを含んでいる気がした。空気が重い。たまらず口を開く。
「あの、……太宰さ」
「どこを触られた?」
へ?と間抜けな声が出る。
……触られた?
「あの男の汚い手でどこを触られた?」
「どこ、って……」
「答えろ」
太宰さんはいつものような笑顔は浮かべておらず、ただ憤りを抑えているように見える。
けれど、何故?
太宰さんが怒ることなんて何も無かったように思う。どうして、こんなに怒っているのだろう。
……少し、怖い。
「く、首、とか……
あと太股とか……足とか、腰とか……
その、……胸元、とか……」
「……っはは」
と思えば笑いを零す太宰さん。
そんな彼がたまらなく怖くて、いつものように拗らせた愛を叫ぶことも出来ない。
思えばこんな状況は貴重だ。是非とも写真に収めたい。
……けれど、無理だ。
(いつもの太宰さんじゃない)
ドレスの裾をぎゅうっと握り締めた。
「ああ……吐き気がするね」
「え……?」
「あの汚い手で君の肌が穢されたんだと思うと本当に吐き気がする……」
刹那太宰さんは私の首筋に顔を埋めた。
突然のことでびくっと体が強ばるが、次にうなじにぬるっとした何かが這わされ思わず「ひぁっ」と変な声が出た。
な、なに、これ……
「ぁ、や……太宰さ、やめ……」
「首だけでそんな反応?
Aちゃんって意外に敏感なんだね」
「や、ちがぁ……」
すると太宰さんの手がドレスに入ってきた。
その手に小さな抵抗を見せるともう片方の手を腰に添えられ、そのままラインをなぞられた。
「こんな男を誘うようなドレス……
君が着るべきじゃない」
「う……これ、は……」
エリスちゃんが一生懸命考えてくれたドレスだ。
私には勿体無いようなドレスだけど、それでもこれは大切なものなのに……。
(私が着ちゃいけないの?)
「Aちゃん、顔を上げるんだ」
その指示に従って顔を上げると、太宰さんの整った顔がすぐ近くにあった。
「首は消毒出来たね。
あと足と腰と胸元かな?」
「や……いや、です」
馬鹿正直に「嫌」と口走ると、太宰さんがぴくっと反応した。
その瞬間、嫌な予感が突き抜ける。
「へぇ……
あの男には触らせたのに、私は駄目だと言うのかい?」
やってしまった
「気が変わったよ」
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FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時