信仰34 ページ37
「佐倉くんの姿を見たかい?」
首領は俺を弄ぶようにそう言いながら笑う。
エリス嬢はどこか得意気に微笑んでいたが敢えて何も言わない。
「……はい」
「綺麗だっただろう?」
「接待役の中でも見劣りしない程度にはなったと思います」
「素直ではないね」
完全に首領は俺を弄んでいる。
どう返答すれば満足だ。
……誰よりも綺麗だと、《本音》を言えば満足か。
「そうそう。中原くんはあのドレスの意味を知っているかい?」
突然変わった話題に首を傾げそうになったが「……いえ」と返した。そもそもエリス嬢がデザインをしたものなのに、そこに深い意味を込められているというのか。末恐ろしい子供だ。
しかしAのあのドレスの柄、か。
純白のレースに所々黒い布が施された妖艶なドレス。
正直餓鬼っぽいパステルカラー辺りでなければAには似合わなさそうだと思っていたが……あのシックなドレスという発想に行き着いたエリス嬢はAが化けると見抜いていたのだろうか。なんにしろあの柄に込められた意味など俺に分かるはずなどない。
「真っ白なドレスなら彼女に合っているがね、黒とはまた彼女には不似合いだと私もエリスちゃんに指摘をしたのだよ」
「リンタロウにはあのセンスが分からないだけ」
「今では納得しているよ。
……あの黒い布が意味しているのはね、」
首領は笑って俺に言い放った。
「……君達、
……いや、君と太宰くん_____」
双黒だよ
そう言って首領は実に愉快そうに笑った。
「あの黒い布、散らばっているように見えるだろう?あれは実は2枚の布から成っているだけのものなのだよ。全体から見ると黒い布が純白のレースに絡みついているように見える」
それを聞いて、何故か笑えてきてしまった。
……本当に末恐ろしい子供だ。
「君達があの子に執着し、あの子に深く絡みついてそこから離れようとしない……。私は前まで逆だと思っていたよ。佐倉くんが君達に執着しているのだと。……けれどそれは丸っきり逆だったのだね」
執着、……いや、太宰の場合は依存だろう。
類似のように聞こえるが本質は全く違う単語だ。
「取られてはいけないよ?中原くん。彼女はいずれ無くてはならない何かに成る」
「……取らせるつもりは端からありません」
そう言うと、首領は口元に弧を浮かべて俺に言う。
「……気を抜かないようにね」
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FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時