信仰32 ページ35
中原さんは首領と同じような反応(私を別人だと思うような行動)をした後少しの間私の容貌に見入っていたようだった。
正直、自分でも鏡を見てこれは私かと疑ったものだ。
けれどはっきりと私の面立ちは残っているし、現にエリス嬢は私を一瞬で見抜いたのだ。
そもそも私が人並みに見栄えする(と言っても接待役の方々の中では下の中だろうけど)ようになったのだってお化粧とプロの腕とエリス様のセンス炸裂のオーダーメイドドレスのおかげな訳で。
色んな人に感謝だなぁ……なんて思っていたら中原さんに両肩をがしっと掴まれた。ひぃっ。
そして目を伏せてからその端正な顔を向けて私の目を睨むように捉えるとこう言い放った。
「……絶ッッ対に、今日は太宰に会うなよ」
「……へ?」
キョトンとして中原さんを見上げる。
「いいか?太宰にだけは会うな。これは命令だ」
「え、でも……」
一層睨まれて「ひっ」と縮こまる。
そ、そんなぁ……。
わざわざ首領にまでさっき許可を頂いて、昨日中原さんにもバーで許可を貰ったのに……。
突然なんなんですかぁ……。
「け、けど挨拶くらいしないと社交辞令が……」
「ンなモンいるか莫迦」
酷いです……。
けど一応上司命令……従わないと処刑、ひぃ……。
「…………わかりました」
項垂れつつそう返事をするとスタイリストさんに叩かれながら背を押された。
わわわ。
「ほらほら出て行った出て行った!もうパーティは始まってんだから辛気臭い顔で痴話喧嘩始めてんじゃないよ!」
「はァ!?痴話喧嘩じゃ、」
「うーるっさいんだよ色男!二人とも出て行きな邪魔だよ!」
中原さんに物怖じせず凄いなこの人……まぁ異能力とか体術とか普段の様子を見てらっしゃらないからだろうけど私だったら初対面でも中原さんにそんな口調叩けません。
結局中原さん共々追い出されて2人で化粧室の前に立っていると、向こうの方から賑やかな声が聞こえてくる。やっぱりもう始まってるんだね。
「おいA」
行こうとしたところを中原さんに引かれ、はい、と振り返る。
すると中原さんは私から目を逸らして首に手を置きつつ、何かを言いにくそうにしていた。
……うん?
「……お前にしては、……その、……
……似合ってる」
中原さんから言われたそんな言葉に私はしばらくポカンとして、その内容を理解した後思いっ切り顔が熱くなるのを感じた。
……ずるいです。
945人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時