信仰31 ページ34
扉が開いてそこから覗いたのはAではなく妖艶な雰囲気を纏った白黒のドレス姿の女だった。
その女は目を見張るほど美しかったが俺が見たいのは美しい女ではなく『化けた』らしいAだ。
その女性の後ろを覗いてみるとスタイリストらしき女がドヤ顔でこちらを見ていた。……いや、俺が見たいのはAなんだが。
「あ、あの中原さん……?」
聞き間違えるはずもないAの声が近くで聞こえた。
しかしどうやら俺は声の発生源を聞き間違えたらしく、この美女の口からAの声が聞こえてしまった。まだ酒は飲んでいないはずだが聞き間違いが酷いな。
Aの姿を改めて探すが、やはり何処にもいない。
「中原さんってば!」
うるさい。
頼むから勘違いであってくれ。
目も思考もいかれちまったんだろうか俺は。
Aの声が、この絶世の美貌を持たんばかりの女の喉から聞こえる。
……真逆。
「私です!佐倉Aです!」
嘘だろ。
「首領と同じ反応しないで下さい!化粧してても分かるでしょぉっ!」
「……お前マジでAか?」
するとAはうわぁぁあっと俺の胸板をぽかぽか叩いて(当然全く痛くないが)俺のことを馬鹿だのアホだのと小学生あるいは幼稚園児並の暴言で罵った。いつもならあ”ぁ”?と睨むところだが衝撃ばかりが頭に走って思考が回らない。
「何年の付き合いですかぁ!一目で分かってくださいよぉ!」
「いや、……無理だろ」
正直、Aのことを可愛らしいと思ったことはあっても美しいと感じたことはなかった。
普段から性を感じさせないような仕事ぶりを見せる上にスタイルをあまり服の上からは見せない。
だがぱっくりと空いた胸元には深い影が落とされ谷が出来ており、白い肌に少し浮き出る鎖骨やうなじはどうにも色気を感じさせ、普段は大雑把にまとめている髪もウェーブがかって片側に纏められていた。金属の髪飾りがはえるような艶のある黒髪も一層その肌の白さを際立たせ、いつもの朗らかとした彼女の様子とはかけ離れた妖艶さを醸し出していた。
ドレスは丈が膝下まであり白をベースに所々黒の布地が入っているというシックなデザインだったが袖や肩に掛ける紐などもなく布地は胸からスタートしている。
オーダーメイドなだけあって彼女のウエストや、腰から流れる足までのラインをドレスはきっちり表現していた。
確かに、Aは『化けた』のだった。
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FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時