信仰28 ページ31
パーティ前日、太宰さんから1本の電話が掛かってきた
『もしもしAちゃん?』
なんで私の携帯番号知ってるんだろこの人。
「はい、もしもし」
『太宰だよ〜』
「分かります」
『流石』
名前の呼び方だけで分かりますよだってこんなイケボ早々いないもん。
まぁ信仰者なら当然のことですよ!
いやそんなことより……
「用件はなんですか?」
『ああいや、大したことではないんだがね』
太宰さんの声色はどこか嬉しそうだった。表情も普段からあまり変えない(ずっと余裕の笑顔)彼が珍しいなと思いつつ、「はぁ」と返事をする。
『明日のパーティ、Aちゃんも出席するよね?』
「あ、はい」
接待役です、と言おうとしたが先程バーで中原さんに言われたことを思い出して言葉をぎりぎり止めることができた。
危ない危ない。ついさっき言われたばかりだったんだ。『太宰には接待役することを言うな』って。
なんでかはよく分からないけどまぁ、中原さんのことだから出来るだけ関わりたくないんだろうなぁ太宰さんに。太宰さんは制止が効きそうだけど中原さんは会ったら前のバーの時みたく太宰さんに殴りかかっていきそうだ。
「出席しますけど、それがどうかしたんですか?」
『その時、探偵社員が居る方に来れるかな?』
「へ?」
『挨拶には中也辺りと一緒に来ると思うけど、そのまま2人で飲めない?』
うっ……これ以上ないお誘い……!
でも……
「すみません……。すごく残念なんですけど、挨拶が終わったらすぐに警護に行かないといけないんです……」
接待役だから太宰さんの方にベッタリ付けるはずも無く……。
付けたとして多分一瞬、もしくは社長さんにだけだろうなぁ。
うう……信仰者として恥ずべきばかりです……。
『……そうか』
「はい……折角お誘い頂いたのに、すみません」
『いいや、大丈夫だよ。気にしないで』
「接待役の方から心中相手でも見つけますか?」
『それもいいね!きっと美人が豊富だよ!』
「ふふっ。楽しんでくださいね」
『……そうだね。
君が一緒だったら、これ以上ないくらい楽しかったんだろうな』
その言葉に不覚にもどきっとした。
う、この言葉で数々の女性を泣かしてきたんですね……。
「ありがとうございます、おやすみなさい」
『……おやすみ』
信仰者はそんな簡単に流されません。
切った後の電話がこんなに名残惜しいのは初めてだ。
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FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時