信仰26 ページ29
「酒言葉……?」
なんですかそれ、と言うと中原さんは「マジか……」と項垂れた。な、なんかまずかったんだろうか。
「……花言葉は分かるだろ?」
「はい!赤い薔薇は情熱!……くらいしか知りませんけど」
「ま、そういうのと同じで酒にも意味を成す言葉がある」
例えば、と言って先程マルガリータが入っていたグラスを傾ける。
「マルガリータの言葉は『無言の愛』。バーで初対面の男にこれを渡されたらまず間違いなく好意を表してる。それを二口以上飲むってことはイコール愛を受けることに繋がる。ベタベタされたくなかったらこういうモンは口だけ付けて置いとけ」
「えええ……でもなんかこう、お話しませんかとかそういうのもないんですか?」
「ん……インペリアル・フィズなら迷うとこだが……男から渡されんのは大抵厭な意味を含んでるモンだろ。今時バーでカウンター使ってカクテルのやりとりなんてほとんどねぇしな」
「へぇ……。そのインペなんとかっていうお酒の意味は?」
「『楽しい会話』。
まぁこれは男女が話してて意思表示に使うってのがアリだけど」
「なるほど……」
奥が深すぎてよくわかりません。
「けど、その酒言葉がどうかしたんですか?」
「……異能組織パーティの接待役に選ばれたんだろ?」
「まぁ、はい……」
「そういう場では、しばしば酒言葉を使って間接的に口説いてくる相手がいる」
え、間接的に?
まぁでもそうか。情報交換は一応表面上では駄目なんだし、密接になってたら周りから怪しまれるもんね。
「でも、ボスは接待役へのセクハラ行為は禁止だって……」
「ンなモン全部表面上だ。裏では接待役が敵組織の幹部と寝て情報を得るなんてことはしょっちゅうな上に幹部が接待の女を襲うこともある」
「そ、そんなぁ……」
姐さんなら睨み一つ効かせればチョチョイのチョイなんだろうけど私に関しては組織の幹部なんて小指でチョチョイのチョイされます。
されます、される方です。
「だーかーら酒言葉を読むんだよ」
「えぇ……?」
「酒は必ず相手を語る。接待役に選ばれる奴なんて大抵酒言葉の殆どを記憶してるからな、向こうがそれっぽい酒を入れて接待役が喜んで飲んだらもう向こうはその気があるって認識になる」
「理不尽!」
「だから覚えろ来週までに。マスター、シャーリーテンプルくれ」
ううう……とんでもないものを引き受けてしまった……。
*シャーリーテンプル*
『用心深い』
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FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時