信仰15 ページ18
『弱虫は、幸福をさえ恐れるものです
幸福に傷つけられる事もあるんです』
____太宰治『人間失格』より
私は愛を受けたことがなかった
ポートマフィアに入っているのだって言ってしまえば流れのようなものだ。
ポートマフィアに入ることが決定した日、親に『私明日から家に帰らないから』と言うと、『そう』としか返ってこなかった。これが親との最後の会話だ。
昔から友人は作れたが、自分の性格を偽りに偽って無理に笑って、上手に笑って生きてきたから作れたものだ。誰も私の本質を見抜けやしなかった。
何をやっても中途半端な私の価値を見出してくれたのは太宰さんだった。
ポートマフィアの末端でちまちまと作業をやっていた私を掬い出してくれたのは中原さんだった。
結局私は太宰さんの部下になったけれど、その後も中原さんとはよく話をしていたと思う。
太宰さんは初めの方こそあまり話すらしてくれなかったけれど、後からは私のすることをたくさん褒めてくれた。何をしても褒められなかった私が、太宰さんに。
……こんな凄い人に褒められたんだ。
資料を集めれば褒めてくれて、ありがとうと優しく笑いかけてくれる。
太宰さんに沢山の幸せを貰った。
空っぽだった私の存在価値を、太宰さんは埋めてくれた。
……のに
_______どうして
******
太宰さんは本当に忙しそうで、今日もずっとこちらに居なかった。
何をしているかは分からないけど、とにかく大変なことはわかる。
少しでも支えになれたらなぁ、なんて思うけど私が出来ることなんてたかがしれている。思うだけでおこがましい。
そんなことを思って廊下を歩いていると、思わず目を見張ってしまう光景が飛び込んできた。
……太宰さんが、こちらに歩いて来ていたのだ。
「太宰さんっ」
私が声を掛けて太宰さんに駆け寄ると、太宰さんは少しだけ目を見開いてすぐにいつもの微笑を浮かべる。やっぱりとんでもなくかっこいい人だ。
「お仕事大丈夫でしたか?」
そう声を掛けても、太宰さんは何も返してくれなかった。
ただ、何かを思いつめたように微笑を浮かべるだけ。
「太宰さん?」
顔を覗き込むと、刹那太宰さんに強く抱き締められた。
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FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時