信仰10 ページ13
「おいA」
中原さんの低い声が耳元で響いた。
けれど意識はハッキリとしない。
んぁ、と変な声が漏れるが中原さんに「うるせぇ」と言われてしまった。
今起こってることは認識できるのに全く意識は覚めない。
あれ、私確かバーに中原さんと2人で飲みに行って……
「なか、はらしゃ……」
「呂律回ってねぇぞ。そんな飲んでねぇのに相変わらず弱いな」
すみません、と言ったつもりだが多分「すみましぇ」くらいにしか中原さんには聞こえてないだろう。なんでもいいけどとにかく眠たい。
新車のような匂いが鼻をくすぐっているがどうにも意識は冴えず、ここが何処かも理解出来なかった。
「一度起きろ。テメーのアパートだろうが」
「はぇ?」
「アッホみてぇな声だな。腕支えてやるから上がるぞ」
車、だろうか。私が乗っていたのは。
意識がはっきりしないまま車(多分)から降りて、中原さんのあったかい肩に支えられたままアパートの階段を上がった。
私の部屋は三階だが、パソコンが5台ある以外は本当に素っ気ない普通の家だ。
中原さんも私の部屋に入れたことがある。勿論仕事関係だが。
「おら、着いたぞ。鍵出せよ」
「ん、すみませ……」
肩にかけているというかぶら下がった鞄から手さぐりで家の鍵を探すが、中々見つからない。
どうにも見つからないので両手で探そうと中原さんの肩から腕を離す。
すると刹那ぐわんと体が重くなって足が崩れた。
「っあ、」
そこでやっと意識がハッキリとしたが崩れる足は直らず、そのまま階段から転げ落ちそうになる。
行き場のない手が揺らぎ、階段の下の地面に叩き落とされる未来を見た。
あ、やばい。
しかし揺らいだ手は中原さんの私よりも大きな手に包まれてそのまま痛いくらいに一気に引き寄せられた。
中原さんも必死だったんだろう、異能力で重力を一瞬で変えて私のダメージをなくすことも出来たはずだがそのまま私を抱きとめて不器用な腕で肩を抱かれた。
ハッキリとした私の意識に、ぶわっと熱がこもるのを感じた。
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FR3kb7ywsKfcSOL(プロフ) - マジでそれな(^^)b (2020年5月29日 23時) (レス) id: e1643b3add (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - それな( ´-ω-)σ (2018年6月2日 8時) (レス) id: 510e192a85 (このIDを非表示/違反報告)
fuwari - 私は治くんが世界一大好きなのですが...その気持ちものすごくわかります(*'‐'*) (2017年3月9日 23時) (レス) id: f502c3a9d5 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 無気力感さんとは趣味が合いそうです!! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 6ab3ea64fe (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - 無名の中二病患者さん» 書いててそれ本当思ってました(´^ω^`)wそこはツッコまないで頂けると嬉しいです(o'3')b シ――――!! コメントありがとうございます(*´∀`*)ww (2016年12月23日 21時) (レス) id: a57f2ac744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月20日 10時