半端な君に一円を $Q$【HQ】

一円三十七枚 ページ7

「君、自分のこと、まだちゃんと教えて貰ってないんデショ」





「は、はい………」






月島さんは、ズンズン進んでいく。







私は手を引かれるがまま早足でついて行くしかないけど………今、どこに向かってるんだろうか？








「………知りたい？」








急に立ち止まった。









そして私を試すように見て、問い掛ける。








知りたい………？







自分の、ことを？








「教えて、くれるんですか」







「君が望むのならね」









コートをぎゅっと握り締めた。








月島さんは、今私を試してるんだ。







でも、何で。








………自分が、庇う価値があるかどうかの、品定め？








それでも、いい、かな。








けれど私は、………








「いい、です」








月島さんが、驚いたように目を見開く。





しかしすぐに面白そうに小動物を見るような目になって、「へーぇ」と呟いた。








「いいんだ？」






「はい。
私は、全部クロから聞きます」






しかし、その言葉を聞いて途端に不機嫌そうな顔へと変わった。







「………随分黒尾さんのこと信用してるけど、あの人は君が思ってるより善人じゃないよ」






「えっ？」








次には歩き出した。






ちょっと………待って！







「どういうことですか？」






「言ったとおりだけど？
あの人は君が嫌うような人種だ」






「そんな………
クロは、凄くいい人です」








そのクロが、私のせいで今色んなことに巻き込まれてる。








クロだけじゃない。







木兎さんも、及川さんも、赤葦さんも。






みんな、いい人。






そんないい人を巻き込んでいる。









………でも、この月島さんだけは。








「そう思ってるなら、君は中々幸せな人って事だね」








………いい人、なの？









『薄く笑うこの人は何を考えているのだろうか』

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