一円五十九枚 ページ29
その時だった。
「ちょーぉっと待ったぁ！！」
ガタガタッという、焦ったようなドアの開閉音。
ハッとして顔を上げ、振り返る。
慌ただしい足音と共に現れたのは、
………及川さんだった。
「その有罪判決に異議を申し立てる!!」
ゼェハァと息を切らしながら及川さんが叫んだ。
______異議。
それは、今私が一番叫びたいものを表した言葉だった。
けれど、どうして及川さんが自由になってここにいるのかという疑問も頭にあって、でもクロのことが頭をたくさんたくさん占めていて。
頭がぐちゃぐちゃになりそうだった。
「クロくんもさぁ、あんまり言いなりになり過ぎて、Aちゃんを置いてけぼりにしてんじゃないよ？」
及川さんが、汗を浮かべたまま苦笑してそう言った。
しかし次の瞬間、そんな緩い表情は及川さんの顔から吹き飛んで。
代わりに、これからとんでもない悪戯を仕掛ける子供のような、純粋な悪巧みの笑い顔、誰もが震え上がるほどの下衆顔を浮かべて、及川さんは思い切り目の前の傍聴席の柵を蹴り倒した。
「証拠は揃ったんだから」
そう言って取り出したのは、一枚の書類だった。
それを見て顔色を変える牛島さんと天童さん。
「及川、それを何処で」
「ウチのツンデレメガネとクーデレ癖毛が頑張ってくれたんでね」
………ツンデレメガネ………？
クーデレ癖毛、はなんとなく分かる。
でも、メガネってまさか………
「っはは………」
私が考え始めたその時、天童さんが顔を抑えて笑い始めた。
「………何がおかしい。天童」
「いんやぁ………？別にぃ………？」
及川さんは、怒りを込めた目で天童さんを見た。
けれどそんなのどこ吹く風といったように、構いもせず天童さんは肩を震わせて笑っていた。
それがどうにも異様に見えて背筋が震える。
「………お前らさぁ、世の中は何でうまく回っていくか知ってる？」
笑いを心底堪えながら、天童さんは独り言のような口ぶりで言った。
「………そこの悲劇のヒロイン気取りのクソガキみてぇな邪魔なゴミを俺たちみたいな同じくゴミが排除するからだよ」
『笑うのだろう』
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つぶ@しょくだ(プロフ) - ツンデレメガネとクーデレ癖毛って事は2人ともデレがあるんですね!? (2016年9月20日 15時) (
レス) id: 00aed15630 (このIDを非表示/違反報告)
ワサビーム(プロフ) - 無気力感さん» www あ、元ワサビしらたまです (2016年4月10日 0時) (レス) id: 4ee0338bf1 (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - shadeさん» わわわ、長文のコメントありがとうございます。ミッションインポッシブルwww確かにwww全員を活かすような作品が作りたかったんですが、力及ばずです(´・ω・`;)ですがそんな風に言って頂けて光栄です。 (2016年4月9日 23時) (レス) id: 4d271d24e6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - ワサビしらたまさん» …………(ﾟДﾟ)ﾊｯ！ (2016年4月9日 23時) (レス) id: 4d271d24e6 (このIDを非表示/違反報告)
shade - 木兎さんが裁判の時の登場シーンでミッションインポッシブルを想像してしまったｗｗｗ本当にいいキャラです(*´▽｀*)ツッキーも！味方って信じてた！！(ノД`)・゜・。裏切り！？ってすごいびっくりしたけど… (2016年4月9日 22時) (レス) id: 83b62e5581 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無気力感
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月26日 9時
