一円四十七枚 ページ17
当たり前と言っては当たり前だが、
檻の森に着き次第、大勢の敵と、天童、牛島、そして。
………月島がいた。
「こんにちは。
先程ぶりです、黒尾さん」
月島がニコリと笑って言う。
何が、先程ぶりです、だよ。
そう言いたいのだろうか。
俺以外の全員は月島に明らかに殺気を飛ばしていた。
前に立つ俺まで殺しかねない程の殺気。
怖いねェ。
「まず質問に答えろ」
「しょうがないですね。どうぞ」
「Aは何処だ」
月島が答えるのではなく、隣にいた天童が吹き出した。
盛大に笑って、「さぁ〜?」と答える。
「今頃天国じゃない?
あ、Qの娘って時点で地獄か」
「調子に乗るなよ天童。
俺はお前に聞いていない」
「ありゃりゃ。
でしゃばってごめんね〜」
でも〜、と拳銃を取り出しクルクルと弄ぶ。
そしてそれをこちらに投げた。
反射的にキャッチするが、罠ではないかと警戒は怠らない。
「それを、あのQの娘とアンタが通話してる間頭に押し当ててたんだよ。余計な事言ったらコロしちゃうぞって。そしたらいきなり自分で自分の頭撃つんだもん。君の邪魔になりたくないからって」
君の邪魔になりたくないから。
天童の言う、君、は俺。
………俺の、邪魔になりたくないから………?
頭を強く殴られた気分だった。
俺自身が、彼女を追い詰めていたのか。
「念の為空砲にしといてよかったよ」
「………は?」
「空砲。
これの音で油断させてから相手を殺す為に開発したんだよ。音はそっくりそのまま本物。煙も出るけど弾丸は無い。まさか本当に殺す訳ないじゃん」
そう言って笑いながら天童が道を開けると、Aが道に放り出された。
コートや顔に泥が付いていて、今すぐ拭ってやりたい衝動に駆られる。
「ま、普通そうだけど音で気絶しちゃっただけだよ。Qの娘は重要な資料と同じ。殺しちゃったら俺まで殺されかねないから。そんなのごめんでしょ?」
まだまだ聞きたいことは沢山あった。
言いたいことも、山程あった。
けど。
意識が、遠のいていく。
「じゃあね。おやすみ」
無臭無色の催眠ガスか?
油断したな。俺もまだまだ、か………。
俺はそこで意識を手放した。
『その』
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つぶ@しょくだ(プロフ) - ツンデレメガネとクーデレ癖毛って事は2人ともデレがあるんですね!? (2016年9月20日 15時) (レス) id: 00aed15630 (このIDを非表示/違反報告)
ワサビーム(プロフ) - 無気力感さん» www あ、元ワサビしらたまです (2016年4月10日 0時) (レス) id: 4ee0338bf1 (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - shadeさん» わわわ、長文のコメントありがとうございます。ミッションインポッシブルwww確かにwww全員を活かすような作品が作りたかったんですが、力及ばずです(´・ω・`;)ですがそんな風に言って頂けて光栄です。 (2016年4月9日 23時) (レス) id: 4d271d24e6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - ワサビしらたまさん» …………(゚Д゚)ハッ! (2016年4月9日 23時) (レス) id: 4d271d24e6 (このIDを非表示/違反報告)
shade - 木兎さんが裁判の時の登場シーンでミッションインポッシブルを想像してしまったwww本当にいいキャラです(*´▽`*)ツッキーも!味方って信じてた!!(ノД`)・゜・。裏切り!?ってすごいびっくりしたけど… (2016年4月9日 22時) (レス) id: 83b62e5581 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月26日 9時