半端な君に一円を $Q$【HQ】

一円四十二枚 ページ12

机を思い切り拳で叩き、椅子からガタリと立ち上がったのは及川だった。





「ふざけるな牛島！！
そんな勝手な都合で子供の命を奪う気か！！」








怒りに染まる及川の顔を見て、天童はケラケラと笑う。








「お前の大手取引先まで潰れるかもしれないんだぜ？あの子の頭の中には大手買い取り人達を震え上がらせるような事が記憶されている。アンタの権力も地に落ちるカモネー」






「煽るようなこと言わないで下さいよ天童さん。いい加減にして下さい」







静かな憤りを見せる赤葦をフンと鼻で笑って、「君らも例外じゃないってことさ」と嘲笑うように言った。







赤葦が何か発言しようとした時、及川は「そもそも」と先程よりは落ち着いた声色で話し始める。








「そのQの娘がそれを完璧記憶してるなんて証拠あるの？可能性としては低すぎるでしょ」







「物心もついてない頃に教えこまされたことなんて、Qの娘だからといって覚えてる確率はほぼ0に等しいでしょ………」







今まで黙っていた孤爪が俯きながら発言する。







牛島が口を割った。








「………だから、何だ」








数秒の間を開けて、何人かが「はぁ？」と眉をひそめた。








「可能性としてはゼロとは言えない。
時期尚早に対応すべきだと上諸々俺が決めた」






「牛島。
ふざけるのも大概にしとけよ」





「ふざけてなどいない」







木兎が低い声で牛島に言うが、なんともないような顔で牛島は言う。







その中、赤葦がついに立ち上がった。







「それ以上ふざけたことをのたまってみろ。お前の脳天をブチ抜く」








明らかに彼らしくない発言だった。









それに臆することなく牛島は発言しようと口を開きかけたが、刹那その頭の横、脳天より少しズレた壁へ銃弾が埋め込まれた。






とんでもない早撃ちだった。







周りの女性大手買い取り人からは悲鳴が上がったが、撃った本人_____ 赤葦は銃を持ったまま舌打ちをした。







その場にいる何人かは気付いたはず。







赤葦は確実に牛島の脳天を狙った。






しかし何故外れたのか。








………弾丸に弾丸を当てたからだ。








「………こんなところで殺人をする気ですか」








貴方はもっと頭のいい人でしょう、と静かに言った_____のは、白布だった。









『今からスタート』

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