伝えたい事 ページ21
職員室に行こうとすると、皆んなが笑っているのが見えた。よく分からないが、嬉しいことでもあったのだろう。
貴「治、来たよ。」
職員室には治だけの様だった。治が私を座らせようと合図をする。私は其れに従い向かい合う様に座る。
貴「何の様?」
太「翠麗、今は楽しいかい?」
いきなり何を言い出すのかと思えば、答えずらい質問をして来た。私は暫く考え答えを伝える。
貴「分からない。」
楽しく無いと言えば嘘になる。しかし、楽しいか考えると私は何故か不安になる。
太「不安な時は私か中也に云うと佳いよ。友達でも佳い。鏡花ちゃん達も喜んで聞いてくれるよ。佳い子達なんだから。」
治がそう云い、私の頭を撫でて来る。やっぱり心地良い。
貴「有難う。私は織田作に未だ、佳い報告は出来なさそうだ。」
太「おや?出来ると思うけど?今の君ならね。今日行ってみると良い。」
貴「行って何を伝えられる?」
太「今の自分の気持ちを伝えるんだ。」
私の今の気持ち。
貴「私は今私は苦しい。私が此処にいては皆んなにとって悪なのでは無いかと思ってしまう。でも私は此処にいて沢山話してみたい。」
太「其れ伝えることができれば、織田作が君に願った事に近付くんじゃ無いかな。」
貴「迷っているのに、答えを見つけていないのに?」
太「アァ、今の君を知れば織田作は嬉しいだろうね。」
治は私の髪を触り、何処にあったのかヘアゴムを手に取る。
貴「何してるの?」
太「髪がボサボサになってしまったからね。より綺麗にしてあげようと。」
貴「自分で直せる。」
太「織田作に伝えられる様におまじないの代わりだ。」
貴「そう。」
私は其の儘髪を整えられることにした。治は手先が器用だ。私がやるより綺麗だ。暫くして出来たのか、治は満足そうにしていた。
太「出来た。中也の授業遅れたら、面倒だよ?頑張ってね。」
出来たのは綺麗な編み込みだった。体育で邪魔ならない様にきちんと配慮してある。
貴「相変わらず上手だ。有難う。」
太「うん。」
私は職員室を出て教室に入ると皆んな待ってましたと言わんばかりに一斉に声をかけて来る。
「太宰先生とはどうだった?」
「何話した?」
「その髪どうしたの?」
一気に質問をされ戸惑いつつも順番に答える。
貴「治とは友人の話をした。この髪は治にやってもらった。」
E「「えっ!?」」
倉「太宰先生こんなに綺麗にヘアセットできるの?!」
矢「手先器用なんだね!」
茅「凄い!」
貴「頼んだら皆んなもやって貰えるんじゃ無い?」
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作者名:蜜柑食堂 | 作成日時:2023年3月2日 21時