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chapter2-5 殺人鬼少年 回想 ページ10

「お誕生日おめでとう!」

おめでとう、おめでとう。周りから祝福の言葉を浴びせられる。
周りからと言っても、アオイを含めこの場には3人しか存在しないが。

目の前には大きなケーキ。と、葉音婆と、お父さん。
お父さんは他の父親達と比べればそれは厳しかった。
保育園児である頃から、アオイを厳しく叱った。

何かあれば、「そんなこと今すぐやめろ」。
小動物を殺した時は、物置に閉じ込められた。
普段とは違う恐ろしい剣幕で怒鳴られた。

葉音婆はその度に、「何をやっているの。」と追い討ちをかけるように諭してきたが、お父さんの仕打ちを受けた後のアオイにとっては安いものだった。

そんなお父さんと葉音婆との6歳の誕生日。

ケーキの前に置かれているナイフ。

その頃から何かを傷付けようとする衝動は少なからずあった。

ケーキを切り分けるのをじっと見つめているお父さん。
暗いその眼が妙に恐ろしく感じて。





深い蒼色が、妙に魅力的に感じて。

「…頂戴っ」

「あっ、アオイ様!?」
「アオイ!」

2人の制止も効かず、ナイフを手に取る。
まだ明るい蒼色は、見開かれた深い蒼色を捉えていた。

刹那。
深い蒼色は深紅に染まる。

和桜(わおう)様!!和桜様!?」

何時もは苗字で呼んでいると言うのに、それすらも忘れて名前でお父さんを呼ぶ葉音婆。

「葉音婆さま……?」

またやってしまった。欲のままに動いてしまった。怒られるかな。
そんな思いがぐるぐると頭の中を巡る。

「アオイ様……いえ、海刻様」

怒られる。そう巡り巡っていた思いとは裏腹に、葉音婆は何時もと変わらない様子で語りかける。
ただ違うのは、名前でなく苗字で呼んでいる事だけ。

「葉音婆、さま……?怒らないの……?俺、お父さんの事、俺…………お父さんの眼……」

何から聞いていいかも分からず、頭に浮かぶ単語だけを連ねる。

「俺、アオイ……だよ?お父さんじゃない、アオイだよ」

もしかしたら葉音婆はショックで気が狂ってしまったのかもしれない。

「俺、は……」

取り乱すアオイに、葉音婆は物怖じもせず口を開いた。

「…アオイ様。貴方がアオイ様である事は変わりません。ですが和桜様亡き後、海刻の名を継げるのは貴方だけなのです」

真っ直ぐな眼で、真実だけを伝える。

「今日から貴方は海刻家の当主になられました」

「……つまり、貴方は"海刻様の息子のアオイ様"でなく」

「完全なる海刻アオイ様になられます」

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設定タグ:オリジナル , 殺人鬼 , 少女   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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無神氷狐龍(プロフ) - 黄桃さん» ありがとうございます!いえいえ…!黄桃さんのじゅじゅエッグの続き、凄く気になります(*´ω`*)黄桃さんも頑張ってくださいね! (2021年1月15日 16時) (レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
黄桃(プロフ) - こういう物語好きです!神作作る作者さんは神か!?私の小説と比べると・・・・(。;_;。)応援してます (2021年1月15日 1時) (レス) id: 2f74b3d2f0 (このIDを非表示/違反報告)
無神氷狐龍(プロフ) - megumiさん» こちらこそコメント&読んでいただいてありがとうございます…!これからも少しづつ時間の許す限り更新していこうと思います。よろしくお願いします( *°ω°* ) (2021年1月9日 21時) (レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
無神氷狐龍(プロフ) - テノヒラさん» なんと…!私自身も好きな子なのでそう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます(´ω`) (2021年1月9日 21時) (レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 更新ありがとうございます! いつもハラハラドキドキしながら、「次はどうなるのだろう?」と、拝読させて頂いてます。これからも、応援しています! (2021年1月9日 20時) (レス) id: 1a15500b7d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒狐 | 作者ホームページ:ない  
作成日時:2020年11月19日 23時

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