家出少女と殺人鬼少年

chapter1-4 家出少女 ページ5

相変わらず、学校では特に面白い事は何も起きずに一日が終わった。
朝から親の五月蝿い声を聞いた事と、偶然松木の怒鳴り声を聞いてしまったことがトリガーになって少し前の事を思い出してしまい、とても良い気分では無かった。

｢ただいま｣

鞄を投げ捨て、手を洗う。
服を脱ぎ、洗濯機に突っ込む。
その辺りに脱ぎ捨ててあった部屋着を羽織ってリビングに行く。
これがいつものルーティーンになっている。
親はまだ帰っていない。
にも関わらず、新人アナウンサーの心のこもらない無機質な声がテレビから響いている。

特にやることも無いので、ソファに座ってニュースを横目にスマホを触っている。


『ここ数日、連続殺人事件の……』

ぴくり、と体が反応した。
殺人事件のニュースはピンからキリまで様々で、面白いものもあれば馬鹿らしいものもある。
連続殺人事件ともなれば、面白い部類に入る事が多い。
今日のは当たりか、と思いつつ目線を向ける。

『犯人の証拠は全く残されておらず…』

証拠の残されない完全犯罪。
面白い展開だな、と口元が緩んでしまう。

『全ての現場に共通して唯一残されていたのは、アルファベットの"M"が書かれたカードだと…』

犯人が自分から残す証拠。
自分の中で、何かが沸き立って面白くて仕方がない。

スマホでも、その事件の事を調べてみる。
色々と見て回っている中で、
Twitterやサイトには、こんな情報が乗っていた。

"連続殺人事件の犯人は少年？"
"力の入り方からして少年か"
"二つ名｢深海のジャック｣"

本当かどうかは分からないことだが、何故だか凄く興奮する。






……私も、出来たりして。





なんて妄想を頭の片隅に追いやって、部屋に戻った。


未だ興奮した心臓の音は、日に照らされた明るい家に響き渡る。

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