chapter1-1 家出少女 ページ2
リーン！と、部屋に大きな鈴の音が響き渡る。
スマホの目覚まし機能の音だ。
｢……うるさ｣
慣れた手付きで解除し、カーテンも開けずに部屋を出る。
キッチンには、いつも食パンだの菓子パンだの、まぁ朝食には申し分無いであろう量の食材がある。
菓子パンを1つ手に取りソファに座ると、スマホを片手に頬張り始めた。
7時10分。リツカが菓子パンを食べ終わる頃、母親の目覚ましが鳴り始めた。
スマホに内蔵されている、聞き慣れたメロディー。
ガタン、と音がする。
母親が起きた合図だ。
｢ねぇ、リツカ｣
おはよう、よりも先に名前を呼ぶ母親。
まぁ、こんな事は日常茶飯事なのだけれど。
｢何？｣
｢朝からこんな事言いたくないんだけどさ｣
言いたくなければ言わなければ良いだろ。
幼稚な反論が頭を過ぎるが、その言葉を飲み込み、次の言葉を待つ。
｢何度言ったら分かってくれるの？｣
またこのフレーズ。今回で何度目だろうか。
毎日の様に聞いている言葉が、今日は何故か妙にイラつく。
｢……何が｣
｢今日、短縮日程だよね？｣
｢それが何？さっさと言ってよ｣
そんな前置きはいい。さっさと言う事だけ言って戻って欲しい。
そもそも言われる事ですら面倒だというのに。
｢何であんなに鞄に物が入っているの？｣
ああ、まただ。これも何度聞いた？
その度に理由を説明している。
"資料"はいつ使うかも分からず、その癖して学校に置いておくのは許されない。だから無くさないように持ち歩きをしている。
"本"は図書室に返さなきゃならない。最近は何かと忙しく、学校でゆっくり読む様な時間はない。
だから家に持ち帰っている。
それに短縮日程だとしても部活や自習時間などでどうしても荷物が増えてしまう。
何度も説明しているはずだ。それなのに朝から騒がれては、流石に黙ってはいられない。
｢何度も言ってるよね？使うから入れてるの。黙ってて？関係ないでしょ？｣
逃げるようにして、自分の部屋に戻る。
時計を見ると、既に7時30分近くになっていた。
さっさと着替えないと遅刻してしまう。
今日は髪のコンディションが良かったみたいで、1回で綺麗に結べた。
｢行ってきまーす……｣
靴に足を突っ込み、鍵を片手に玄関を出る。
冷たい空気が肺に流れ込む。
数日前には目新しかった、道路で倒れていた鳩の死体。
それももう見慣れてしまった。
いつも通りの、変わり映えしない朝。
また、つまらない一日が始まる。
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無神氷狐龍(プロフ) - 黄桃さん» ありがとうございます！いえいえ…！黄桃さんのじゅじゅエッグの続き、凄く気になります(*´ω`*)黄桃さんも頑張ってくださいね！ (2021年1月15日 16時) (
レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
黄桃(プロフ) - こういう物語好きです！神作作る作者さんは神か！？私の小説と比べると・・・・（。；_；。）応援してます (2021年1月15日 1時) (レス) id: 2f74b3d2f0 (このIDを非表示/違反報告)
無神氷狐龍(プロフ) - megumiさん» こちらこそコメント&読んでいただいてありがとうございます…！これからも少しづつ時間の許す限り更新していこうと思います。よろしくお願いします( *°ω°* ) (2021年1月9日 21時) (レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
無神氷狐龍(プロフ) - テノヒラさん» なんと…！私自身も好きな子なのでそう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます(´ω`) (2021年1月9日 21時) (レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 更新ありがとうございます！ いつもハラハラドキドキしながら、「次はどうなるのだろう？」と、拝読させて頂いてます。これからも、応援しています！ (2021年1月9日 20時) (レス) id: 1a15500b7d (このIDを非表示/違反報告)
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