Sixtytwostory. ページ15
..
『さて、と……』
今閉めたばかりの扉に背を預け、はぁ、と一つ息を吐く。
コートのポケットを弄れば、
お目当ての物が指先に触れた。
それを引き出してみれば、暗がりの中光る蛍光色の文字。
"これを手にした者へ。
これは選ばれし者の所有物。
選ばれし者が手にしたのならば出口への鍵となる。
誰にもカードの存在を知られるな。
反すれば選ばれし者は死ぬ。"
そして、カードを裏返せば薄暗がりに奇妙な絵が浮かぶ。
頭の上に輪っかを浮かばせ、
胸の前で両手を結び、何かを願う姿。
何よりも象徴的なのはその白い羽……。
『…………、天使……』
思わず溜息が漏れる。
天使を指す選ばれし者など一人しか知らない。
ゲームマスターがそれを意図してやっているとなれば、
それこそ、質の悪い話だった。
取り敢えず、ザックを迎えに行こう。
コートのポケットにカードを仕舞い込み、
一歩踏み出した瞬間。
凄まじい音を立てて、赤いランプの扉が開いた。
「先生は死んでない……ッ！
死んでなんか……ッ！
どいてくださいッ！！！」
「待つニャンっ！」
バーガーバーグが最初の試練から持っていた四角い箱を両手いっぱいに抱え、血眼で私の横を通り過ぎていくピンク頭。
そして、それを必死で追いかけて行く猫フード。
どっからどう見ても絵心と飯伏だったが、
どちらとも気が散乱してたのは確かだった。
「あれ！？ どこ行ったんだ！？」
「まさか、あの階段の先に行ったんじゃ……！」
……騒がしいな。
田綱と千堂院の焦った様な声を耳に、その方向へと視線を向ければ、困ったように首に手を当てる篠木と目が合った。
嫌な予感がする。
「Aちゃーー」
『知らん。自分達で探せ』
大方、"一緒に探そう"などと続いたであろう言葉を遮って、
即座に断れば、視線を逸らした。
流石に、これ以上、ザックを放ったらかしに出来ない。
側に居なければいけない状況で、只でさえ離れているんだ。
何をやらかすか分かったもんじゃない。
そんな意図を察したのか否か。
篠木は頬を掻くと、一つ素直に頷いた。
「オーケー、俺達は今から二階に探しに行く。
Aちゃんもザック君と合流次第、来てくれたら嬉しいよ」
『………………』
小さく微笑むと、
千堂院と田綱の背を押しつつ通り過ぎて行った。
"行く義理は無いが……"。
そう心の中で思いつつ、私もザックの元へ足を早めた。
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みるく味 - あ、終わってるんですね… (2023年4月9日 18時) (
レス) @page18 id: fe5a781a36 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこさん - あっ...あ...終わってはる...😭 (2023年2月5日 22時) (レス) @page18 id: bd60be6b86 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - めっちゃ好きなのに、終わってる……泣きたい (2022年11月4日 1時) (レス) @page18 id: c36a6b3b63 (このIDを非表示/違反報告)
梨夢(リム) - 終わってる…。 (2022年7月24日 4時) (レス) @page18 id: 265c125c54 (このIDを非表示/違反報告)
Rukia (ゆっくりゆる) - ｷｬｱｧｧｱｧｧｧ好き。(突然に冷静になる精神年齢30歳) 日和…ひよりんヤバイよ夢女をぶっきょろする気か？ さつてん×キミシネはストーリー系が中々無くてあっても男主なのでありがてぇ……状態でござりまする。 (2021年5月29日 3時) (レス) id: 2e12baa0e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高橋 | 作成日時：2018年9月4日 11時
