【殺戮の天使×キミガシネ】ANGELGAME

Twentystory. ページ21

..





言葉にしてから、

自分が随分と臭い台詞を吐いた事に気付いた。


態々、何年か振りに笑顔を浮かべてまで。





あほらしい。



もう私は十分に頑張った。





一つ溜息を吐いて後ろを振り向くと、

どすっと鈍い音を立てて突進してきた餓鬼が一人。



腹回りに手を回し抱き付く飯伏。





「A姉ちゃんが笑ったワン……！」

『は……？ 私だって笑うーー』

「やっぱ女の子の笑顔は可愛いねー」





次は、ぽんっと肩に置かれる手。


その手を辿っていけば、

へらへらとした笑みを浮かべる篠木の顔に辿り着く



そして、私から其奴らを剥がした奴は……。





「何気持ちの悪い事言ってんだよ！」





ザック。





その三人(主にザックと飯伏)で始まる喧嘩を横目に、


此方を見詰め呆然としている日和と、

頬を赤らめている田綱を目に角を立てて見据えた。





『……何だ』

「い、いや、なんでもないよ……」

「な、ななな、何でもねぇっす！」

『………………』





ふいっと顔を背けられる。

それに思わず舌打ちをしてしまったのは仕方がない





笑わなければ良かった。



そう後悔すると同時に、

くんっと服の裾が引っ張られた。





背後を見てみれば、青い顔をしたバケツの餓鬼。





「あ、有難う御座います……」

『別に私は何も……、落ち着いたか？』





こくりと小さく頷く餓鬼。



落ち着いたのなら服から手を離せとでも言おうと思ったが、「あの……」という声に口を噤んだ。





「あの……、私……、木津地神奈って言います……

えっと……、私……、中学生です……。

それから……、ええっと……」





堰を切ったよう喋り出す木津地。


そんな木津地の背中に再び手を置き

摩ってあげる千堂院こそが優しいんだと思うが。



木津地はそれにホッとして再び言葉を紡ぎ始めた。





その話によれば、


放課後に姉と帰路に着いていた時に、

路肩に止めてあった車の持ち主に捕まったらしい。





話を聞く限り二人一緒に捕まったように聞こえるが


今、木津地の隣には姉らしき人物はいない。





私の頭に最初の試練が思い浮かぶ。





「……ここへ来てからのことを教えてくれるか？」





千堂院が木津地に問い掛ける。



木津地がここに来た時のこと……。

此奴の異様な怯え方から考えても。





恐らくーー。





「ここ……？

ここ……、来てから。



……お姉……、ちゃん……」

Twentyonestory.→←Nineteenstory.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す