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私は13歳、むいとゆうは11歳の時。
私達は鬼の襲撃にあった。
当時既に鬼殺隊員だった私だけどその日は偶然家にいて、襲撃に来た鬼を何とか倒した。
けれどその戦いで私達の家は壊れてしまい、その後お館様に後に春霞邸となるお屋敷をいただいたため、私達は住み慣れたこの家を離れることとなった。
あの日から、あの夜から、
何度この山を登ったろう。
父と母の眠る故郷に、何度帰ってこられただろうか。
鬼殺隊員で、しかも柱である私達の休みは少ない。今年のお盆も、任務続きで帰ってこられなかった。
嗚呼、それでも。
この家は、この山は、何も変わらない。
3年前、私達が山を降りたあの夜から、何も。
いつきても変わらない、懐かしくたまらなく愛しい。
私の、私達の、帰る場所。
中々帰ってこれなくても、こうして突然に帰ってきても、
それでも優しく、暖かく迎えてくれる。
大切な、大切な故郷だ。
父さんと母さんのお墓の前について、私達3人はそっと静かに手を合わせる。
父さん…母さん。
ただいま、久しぶり。
元気にしてた?…何て、死んだ人相手に聞くのは変か。
しばらく帰ってこられなくて、ごめんなさい。
私もゆうもむいも、この通り元気だから安心してね。
今日は、お祭りに行ってきたんだ。
小さい頃、父さんと母さんと一緒に行った、あの秋祭り。
任務がないのも、お祭りも、とても久しぶりで、とても楽しかった。
私達、おめかししてお祭り行ったんだよ。
りんご飴も食べたよ。一人1つずつ、3つ買った。
金魚すくいも三人でやったんだ。
ゆうってば凄いのよ。1回で30匹もとっちゃって。
私は一回もとれなかったけどね。
そうそう、小さい頃、泣いてる弟を叱ってばかりだったゆうは、よその子を優しくなだめてやれるようになったんだよ。
かき氷も食べたよ。やっぱり3人で1つずつ。
もう焦って食べて頭を痛くしたり、服にこぼしちゃったりしない。
花火も見たよ。相変わらず綺麗だった。
昔花火の大きな音に驚いて泣き出しちゃったむいも、もうちっともなかない。
花火のことだけじゃない。鬼狩りとして皆を守れるくらい、強く、たくましくなった。
…ねえ、父さん、母さん。
私達、大きくなったよ。
出来なかった事が出来るようになった。
昔叶わなかったことを叶えることが出来るようになった。
弱かったけれど強くなって、苦手なものが平気になって、
そうして生きていける。
そうして大きく、育っていく。成長していく。
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るるっち(プロフ) - 優衣さん» ありがとうございます!お化け怖がってる子は可愛いの法則。どうやって柱時代任務を切り抜けていたのやら……笑 コメントありがとうございました! (9月15日 14時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - お化け屋敷に行った時の有一郎が可愛いです♥️ (8月28日 23時) (レス) @page39 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - Kk さん» そうおっしゃっていただけ光栄です!その通り、超吉ガールですw小学生の頃からの愛読書です。コメントありがとうございました! (6月25日 0時) (レス) id: 78fb67fc57 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - このシリーズ大好きです!! 質問なんですが秋祭りの話15の大正にない小説は超吉ガールですか? (6月24日 22時) (レス) @page17 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - ナタデココさん» ありがとうございます!キャンプですね、了解しました。リクエストが立て込んでいるのでかなり遅くなると思いますがご了承下さい。いえいえ、大丈夫ですよ!おきになさらず。飴ちゃんありがとうございますw コメントありがとうございました! (2021年2月19日 2時) (レス) id: 124c6176e8 (このIDを非表示/違反報告)
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