*竜柱の記憶 ページ30
「いや〜今日の任務もド派手!爽快!でしたね!!いえ〜い!!」
「おう、俺には敵わねえがお前もまあまあド派手だったな!」
太陽が沈みかけるころ、共同任務終わりの宇髄さんとはいたっちをする。
いやこれ身長差ありすぎるけどはいたっちって言えんのか?まあいいや。
屋敷への帰路を辿っていると、また。
「うわ、まただ………」
足元がふわり、浮いたような気がしたかと思えば、次の瞬間には涙を流していた。
ほろほろとあふれてくる涙を、さすがに放っておけないので袖でごしごしと拭う。
隣に宇髄さんいるけどどうしよう。目にごみ入ったってことにしようかな。
まるで血のようにとめどなく溢れてくるから、どうしようもなく気持ち悪い。
「おーおー、何地味に泣いてやがんだ?」
「あっ宇髄さん!!これは違んむっ!!」
どうやら宇髄さんは察していたみたいで、ぐいっと私のからだを引き寄せた。
胸板に顔を埋めるような格好になったけれど、これはこれで最高。
やっぱり宇髄さんは鍛え方が違うな、なんて呑気なことを考えていたら。
「ぁ゛ッ……い、ぅ゛…………?!」
突然、頭に、それこそ抉り取るような痛み。
痛みに耐えきれなくて、宇髄さんの隊服をぎゅっと握りしめる。
いたい、なんかへんだ、これ。ふつうのずつうじゃない、っていうか…
一度きりの痛みだったけど余韻が残っていて、脳を掻き回されるようにも感じる。
何か、おかしくなりそうなんだ。私が私じゃなくなりそうな、まるで…
なにか大事なことを思い出しそうな。
「あれ、なん、っで、わたし、こんなに泣いて……」
ぐすぐすとしゃくり上げながら泣いているのに、気持ちが全くついてこられない。
こんなにも号泣しているのに頭の中は至って冷静だ。
そして、流れる涙の流れがひときわ増した時、脳裏に蘇ってきたものがあった。
「ぅ、ずいさん…わたし、なんか、おも、いだせた……!!」
「…!そりゃあ良かったな、けどよ、お前本当に大丈夫なのか?」
地味にブっ倒れたばっかだろ、と宇髄さんは付け加えた。
ううん、私は大丈夫。大事なことを思い出せたの。
私はぎゅぅっと涙を飲み込んでから、顔を上げて笑顔を見せた。
「なんでもないよ、宇髄さん!行きましょう!」
思い出したのは、家族のこと。
_今まで忘れていた、だいじなだいじなきおく。
あたたかかった日々の確かな思い出を。
とにかく今は…「記憶のない私」を求めてくれる人のために進まなくちゃ。
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ころころ - ゆるふわですやん! 知ってるんですか! (2019年10月4日 20時) (レス) id: 327fdb2cac (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんのなんでも屋さん» コメントありがとうございます〜ッッ!!!わりと皆さんに気付いてもらえて内心同志を見つけられたようで嬉しいです!! (2019年10月3日 17時) (レス) id: 647675a819 (このIDを非表示/違反報告)
こんのなんでも屋 - あーっあーっしぬかとおもった!しぬかとおもった!ってどっかで聞いた事あると思ったらぴーまるちゃんとこのうさぎさんw (2019年10月2日 19時) (レス) id: 8cb1996207 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - ゆきさん» わーコメントありがとうございます!!!続きます!!続編行きます!!体調管理にも気を配りつつ頑張っていきますー!! (2019年10月2日 7時) (レス) id: 647675a819 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一瞬最終回かと思ってめっちゃびっくりしたけど、続くの文字を見てとりあえず一安心。この作品は今まで見てきた中で一番好きです。これからも投稿楽しみに待ってます。無理をせず頑張ってください。 (2019年10月1日 21時) (レス) id: fbbd62be54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネロ | 作成日時:2019年9月8日 15時