第20話 食物連鎖 ページ23
*
貴「…なんだろう、これ」
東側の森を歩いていると、木にぶら下がった蜘蛛の巣?……いや、これは繭玉だ。
今視界にうつるもので約10個ほど。
もしかしたら罠かもしれない。
触るのは気が引けたので刀で斬ることにした。
貴「……」
酷い有様だ。
繭玉の中は溶解液だろうか。人が溶けている。
もしかしたらまだ間に合う人がいるかもしれないと思い全て斬ったが、全滅。中に捕らわれた人々は皆溶けていた。
貴「助けられなくてごめんなさい…」
…あなた達の無念は晴らします。
これが私たち鬼殺隊にできる犠牲になってしまった人たちへのせめてもの償いになると信じている。
まず鬼を探す前に、繭玉を探そう。
もしかしたらまだ間に合う人がいるかもしれない。そんな淡い希望を抱いてみたが、それは尽く砕かれた。
貴「ここもか…」
出てくるのは液、液、液。
中には完全に溶けきっておらず、臓器がゴロリと足下に転がってきたりして少し堪えた。吐き気がする。
貴「(罪の無い人を苦しめて…
遺体も残さず溶かしてしまうなんて…)」
何故そんな残酷なことができるのだろうか。
鬼の考えていることはよく分からない。
私も熊や豚、牛などの肉を食しているが残しはしない。命を頂いているのに残すのは失礼だと思うからだ。
殺したからには責任をもって食べて、生きる。
貴「殺して、そのまま苦しめて……」
───…食べずに、溶かす。
きっと鬼は罪悪感などは感じないだろう。……けど「勿体ない」。そうは思わないのだろうか。
「カァァ!カァアア!」
貴「わっ!び、びっくりしたぁ…」
地面に転がった臓器を見て考え込んでしまっていた。
いきなり肩に乗って鳴かれたから驚いたじゃないか。心臓がバクバク言ってるよ。
心臓を抑えながら鎹鴉に用件を聞く。
「朗報、生存者ヲ確認
少シ先ニ生キ残ッテイル隊士ガイル
合流急ゲ」
貴「わかった」
良かった、まだ生きている隊士がいた。
安堵しながら少し早足で先に進むと前方に人影が見えた。
貴「……?」
……あれは、鬼殺隊の隊士ではないな。
白い髪の毛に白い着物。
───鬼だ
*
2214人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時