第35話 地獄の仔細報告 ページ40
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産「さて、柱合会議を始めようか
まず先日の那田蜘蛛山の報告からかな
───…入っておいで」
「はっ、はいッ!失礼します!!」
貴「(ん?この声は…)」
右手と右足、左手と左足をそれぞれ同時に出しながらカチンコチンになって歩いて出てきたのは村田さんだった。
…右手に持っている風呂敷はなんだろうか。
村「階級・庚、村田がご報告させていただきましゅ!アッ…」
貴「(噛んだ…)」
相当緊張している様子である。
噛んだり言葉が途切れたりしたりはしたが、大体の報告が済むと村田さんはあからさまにホッと肩の荷を降ろし始めた。気が早いぞ。
不「何遍も言ってるけどなァ
最近の隊士の質が落ちてんだよォ!」
貴「確実に育っている隊士もいると思いますが…」
伊「それでは少ない、少なすぎる
このままでは鬼殺隊の存続が危うくなるかもしれないんだぞ、危機感が足りていない」
貴「それは……そうですねぇ…」
そうだよなぁ。
那田蜘蛛山の鬼はそんなに強い印象は無かった。十二鬼月も冨岡さんがサクッと倒したみたいだし。
10人も入山したのにも関わらず、皆死んだ。
死んでしまった人達には悪いが鍛錬も、判断力も、何もかもが足りていない証拠であり、それは隊士の質の低下に繋がる。
煉「命令に従わなかった隊士の育手に心当たりはないのか!?」
村「申し訳ありません…」
宇「使う呼吸は?」
村「……」
ふるふると首を横に振る村田さん。
それを見た宇髄さんは大きな溜め息を吐く。煉獄さんはむぅ!と困ったように唸った。村田さんはビクビクしている。
貴「(空気が重い…)」
肌に刺さるような緊張感と皆さんの苛立ち。
これがあるからいつも柱合会議はあまり気乗りがしないのだ。もはや蜜璃ちゃんとしのぶちゃんと無一郎くんに会いに来ているだけのようなもの。
その悪い空気は会議中ずっと続き、早いことで一刻が過ぎた。
産「今日はここまでにしようか
炭治郎と禰豆子の件、よろしく頼んだよ」
「「「御意」」」
お館様が座敷から立ち去ると、私たち柱は全員立ち上がる。
無「……ねぇ、Aさん
僕ずっと気になってたんだけど」
貴「? なに?」
無「羽織どこにやったの?」
それを聞いた村田さんがビクゥッと肩を揺らしたのを私は見逃さなかった。
その反応を見てあぁ、あの風呂敷はそういうことかと1人納得したのであった。
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時