丗漆 ページ42
病室に一人、ぼうっと天井を見上げた。
『疲れた……』
今までお世話になった人に挨拶をしてきた。
お館様、実弥さん義勇さん、カナヲちゃん、炭治郎くん達、宇髄さん夫婦、幸哉と師範。
皆優しくて涙が出そうだった。
鬼殺隊は皆優しい。
伊黒さんでさえ誕生日に贈り物を沢山送り付けるという嬉しいことをしてくれた。
その中で1番嬉しかったのは櫛だった。
櫛を贈る意味を互いに知らなくて、知った時は無一郎に怒られたっけ。
『……私が先に死ぬはずだったのに、先越されちゃったな。』
……無一郎が居ないだけでこんなに寂しいんだ。
嗚呼、とてつもなく無一郎に会いたい。
いつもみたいに抱きしめて欲しい。
ひら、
『桜が………わ、綺麗。』
無一郎とした最初で最後だった逢引。
あの日も桜が咲いていた。
その時にくれた簪を髪につける。
『似合ってるかな？』
一人の病室で呟いても返答はこない。虚しい←
『っ…………』
目眩が襲う。シーツを握り締めて意識を保つ。
『はは………もうそろそろかな………』
声を出すのも辛くなってくる。
ベットに倒れ込む。
『もう……さよならだね…………』
すると、風が吹き、カーテンが靡く。
風と共に桜の花びらが部屋に入り込む。
『……………！！』
目の前に、信じられない光景が映る。
そう、私の愛する人。
無一郎の姿があった。
『無一郎！！』
必死に手を伸ばすが当然届かない。
『迎えに来てくれたんだね……』
無一郎は、何も言わないが笑顔を見せた。
『…ありがとう。無一郎。』
そして私は、静かに目を閉じた。
「愛してる。A。」
不治の病でも、私は＿＿＿＿
無一郎を、愛した。
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ユリア(プロフ) - どんな展開になるかドキドキワクワクしながら読みました！素晴らしい作品をありがとうございました(o^―^o)ﾆｺ (2022年12月16日 12時) (
レス) @page43 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 感動しました…！！ (2021年2月22日 22時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユノしの | 作成日時：2020年3月23日 17時
