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「あら、そう。私を倒せるものなら、倒してみなさい!」
その言葉と共に、赤子から爆音が放たれる。空気がビリビリ震え、窓が割れる。鼓膜が悲鳴をあげる。私も後ろまで吹き飛ばされそうだ。襲い来る物理攻撃もいなすので精一杯。長引くと後ろの女性たちも危ない。
その時、すっと現れた影。
冨岡さん、やっと来たか。
「お仲間が増えたのね!まあ今までの鬼狩りも、この産声になすすべなく死んでいったけど!」
アホなのね。多少力のある鬼なら、冨岡さんが柱ってことぐらいわかるのに。
だがしかし、この産声は厄介だ。高威力、広範囲の攻撃。冨岡さんも自身の鼓膜を守りながら敵の攻撃をいなしている。髪を拳の形にして殴りつけてくる物理攻撃も避けにくい。もう私の“血鬼術”を使うよりない。
チラリと視線を送る。すると冨岡さんが軽く頷く。どうやら伝わったようだ。
頼む、効いてくれ…!
そう願って私は自分の腕を切り裂いた。
『血鬼術_ 真空 』
私の血液は気体となり、瞬く間に広がる
真空中では音は伝わらず、鬼の動きも鈍くなる。
私の血鬼術が鬼に届くと同時に、冨岡さんは踏み込み、間合いに入る。そして頸を斬る_
かと思えた。しかし、刃は鬼の頸には届かなかった。鬼は自らの髪を繭のように纏わせ、その髪を冨岡さんの刀に絡めた。
その付近は真空中。冨岡さんを窒息させてこの術を解除させる気のようだ。冨岡さんは今呼吸を使えないから鬼を斬ることができない。
だが、術を解除する気なんてハナからない。解除した瞬間、爆音を鳴らすつもりだろう。至近距離の冨岡さんが危ない。なら一択。
『空の呼吸 伍の型_爆雷 』
雷の如き速さで繭ごと頸を断ち切った。
真空の術も解いたし、冨岡さんは自分で出てこれるだろう。
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作者名:暁 夕暮 | 作成日時:2022年4月6日 14時