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『私は本当に彼の支配から逃れています。』




しかし、時透さんはそんなことでは納得してはくれない。



「ふぅん。

じゃあさ、鬼舞辻の名前を言わないのは何か理由があるの?あからさまに避けてるよね。」


彼の言う通り、私は鬼舞辻の名前を口に出すことを恐れている。あえて言わないようにしている。



『見たんです、目の前で。彼の呪いによって鬼の命が簡単に奪われました。その惨たらしい光景が目に焼きついていて、彼の名を口にすることが恐ろしくてたまらないのです。』


思い出すだけでも寒気と吐き気が止まらない。


・・・

「な、なんで鬼が…鬼殺隊やってるんだ!なぜあの方に消されないんだ…!それに、そこにいるのは逃れ者の珠世だろう!なぜ消されない!あの方に…!」


どれほど前だっただろうか。私が“珠世さん”と会った夜。“逃れ者”と呼ばれた彼女は鬼舞辻から追っ手を放たれていた。


言葉通り、珠世さんは鬼舞辻の支配から私を除いて唯一逃れた人物。愈史郎という男の鬼もいて、彼は珠世さんが200年以上かけて鬼にした、たった一人の鬼だ。(もちろん彼女に鬼を増やす目的はない。)


彼女は私に鬼として生きるための道を示してくれた。


「Aさん、見せたいものがあります。少々お辛いでしょうが、我慢してください…。


では血鬼術を使いますので少し下がっていてください。息を深く吸わないように_。」


そう言って珠世さんは血鬼術を使った。


「血鬼術_惑血」


珠世さんは相手に隠匿をさせない、脳の機能を低下させる術を放つ。


「あなたを鬼にした血は誰のものですか?」


すると、驚くほど取り乱す鬼。


「い、言えない!絶対に…!鬼舞辻様の名前だけは…ハッ!」


「その名を口にしましたね…。残念ですが、さようなら。」


「すみません、申し訳ありません!お許しください無惨様ぁぁ!」

▽→←▽



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作者名:暁 夕暮 | 作成日時:2022年4月6日 14時

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