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62,宣戦布告 ページ12

水無瀬「その結果、
君が彼を選ぶなら仕方が無いけど…
俺としても
どうして別れる事になったのか、まだわからないから」

A「………」

碧井「…?」

水無瀬「碧井さんは何も聞いていないですか?」

碧井「…細かい事は、まだ」

“トラウマ”があるという事実しか知らない。

水無瀬「Aさんには、
“自分に原因がある。まだ私には早かったみたいだ”
…と言われたんですよ」

A「うん…。水無瀬さんは悪くないから…」

水無瀬「その理由は、話してくれないの?」

A「……」

碧井「彼女が言いたがらないなら、無理に聞かない方が…」

水無瀬「…そうですね」

やはり水無瀬さんは良い人なのだろう。
すぐに納得してくれた。

水無瀬「でも、お試しで…とはいえ彼氏を作る気になった
って事は…Aさんも少し変わったのかな、と」

A「たぶん…そうですね」

水無瀬「なら、また俺と
やり直せる可能性もあるかもしれない」

A「…っ」

碧井「………」

俺は、そんなの嫌だ。
他の男に取られるなんて苦痛でしかない。

…だけど、これは彼女と水無瀬さんの問題だ。

選ぶのは彼女で俺が口を挟むのは違う様にも思う。

水無瀬「…どう?もちろん碧井さんとの関係も続けてくれて
構わない。ただ、同時進行で俺の相手もしてほしい」

A「………」

水無瀬「そのうえで、また
やり直せるのか…考えて貰えないかな?」

A「……ちょっと時間をください」

碧井「…っ」

彼女は断らなかった。

…誰も悪くない。だけど、やはり少し胸が傷んだ。



水無瀬「わかった。…連絡先はまだ残ってる?」

A「一応…消してはないです」

水無瀬「そう。なら、また日を改めて連絡するよ」

A「はい」

水無瀬「無視せず話してくれてありがとう。
ライブも良かった。応援するよ」

A「ありがとうございます…」

水無瀬「碧井さんにも、ご迷惑をおかけします」

碧井「いえ…」

水無瀬「それでも…俺も譲れないので。…では、失礼します」

碧井「…はい」

A「………」

水無瀬さんが去っていく。

口調も表情も終始優しかったのだが…
どこか芯の強さも感じた。

“ご迷惑をおかけします”……か。

あれはオブラートに包んだ宣戦布告だよな。きっと。

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設定タグ:オリジナル , 男主人公 , 片想い   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:麦兎 | 作成日時:2021年10月21日 0時

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