第二章：嫌いなお客様/ジャージ ページ8
救助された花ぱんは
気絶していたので
阿鳥くんが手当をして
ベッドに寝かせている。
A「ありがとう、助かった…」
阿鳥「大きな音が聞こえてね。…念の為と確認
しに来てよかったよ。最初から大変だったね」
A「それにしても…
こんな物が降ってくるなんて…」
天井を突き破って落ちてきた。
上の階だったから…今は夕焼け空がよく見える。
阿鳥「現世でも
こうやって事故にあったんだろう」
A「ああ…これで全身下敷きになってたら……生死も定かではないね。……ん？」
破損した看板に目をやると
看板の中に光るものを見つけた。
よく見ると、それは鍵だった。
A「………よし、」
手を突っ込めば簡単に取れた。
軽く擦り傷できたけど。
きっと、ゴミ箱の鍵だな。
阿鳥「こら。お客様の許可なく開けない」
A「仰る通り」
ゴミ箱を開けようとしたら注意された。
A「でも…中身はなんとなく、わかってる」
阿鳥「え？」
そう言って、勝手にゴミ箱を開けた。
………ほらね。
思った通りだ。
A「これ…」
花ぱん「ん…」
私が説明するより先に花ぱんが起きた。
傷はいつの間にか消えている。
きっと、下半身が埋まっていたので
傷の再現も足だけで済んだのだろう。
A「お客様の正体がわかりました」
花ぱん「本当ですか！？」
A「お話するのはいつでも構いませんが…」
花ぱん「早く知りたいです」
A「かしこまりました」
起きたばかりだし…と思ったが、
当事者はサッサと解決したいよね。
A「まず、お客様のお名前ですが…」
クローゼットを開く。
看板落下時にクローゼットにぶつかり、
反動で開いていたのだが
閉め直す際に見つけていた。
学校指定のジャージ。
指定ジャージには名前の刺繍がある。
A「こちらはお客様のお名前ですね？」
花ぱん「
俺は高千穂剛です！思い出した！」
花ぱん頭が消えていく。
そして男の顔が現れた。
昔より大人になった、ムカつく顔。
A「高千穂様。私の顔に見覚えは？」
高千穂「いや…。でも、申し訳ないけど…
思い出しそうになればなるほど
イライラします…」
A「お互い様ですね」
阿鳥「Aちゃん」
A「スミマセン」
つい喧嘩売りそうになったところを
阿鳥くんに止められた。
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作者名：麦兎 | 作成日時：2019年6月25日 0時
