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第四章:孤独の葛藤/同族嫌悪 ページ43

ムカつく。

そう思ったらどんどん
イライラしてきて、

止めらんない。

A「やってよ、サックス」

阿鳥「……」

A「未練残したままでいいの?
もし死んでたら、これがラストチャンスだよ」

阿鳥「…断る。ライブを楽しみにしてる
Aちゃんには申し訳ないけど…」

A「そんなこと…どうでもいい!!」

阿鳥「…!」

A「楽しみだよ!確かに!でも…それ以上に
今の阿鳥くんにムカついてしょーがない!」

阿鳥「……」

A「阿鳥くんは生きてるかもしれないのに…
まだ…やれるかもしれないのに!!」

阿鳥「いや、敵わないのは散々…実感したよ」

A「そうじゃなくて!!好きなんでしょ?
サックスが!!未練タラタラなんでしょ!?」

阿鳥「……」

A「諦めるのは勝手だけど…!
勝手に諦めといて!うじうじといつまでも
未練がましく寂しい顔しないでよ!!」

阿鳥「…っ」

やばい…私が泣きそう…。

A「………」

言うだけ言って、言葉が詰まってしまった。

それ以上は何も話さずに、私は食堂を出て
自分の部屋に逃げた。

A「はぁ……」

相変わらず、夕陽が眩しい。
……これも現世の記憶なのかな。

死に際に見た景色に似ている。

この部屋が一際
眩しいのは…そのせいかもしれない。

A「最低だよ、私…」

………阿鳥くんに八つ当たりしただけなんだよ。

本当は、未練タラタラで
うじうじしてるのは自分自身。

A「……」

クローゼットを開ける。

相変わらず、気分が悪くなる中身だ。

A「人の事、言えないな…」

阿鳥くんの生死はわからない。
でも、私は確実に死んでいる。

死に際の最悪な思い出と
唯一の夢すら失ったショックから
立ち直ったら、あの世へ行こうと思っていた。

…でも、その方法が思い付かないまま
私はこのホテルで時間を浪費している。

A「………」

初めてこの部屋に来た時、
机の上にあったカメラ。

今は気分が悪くなるクローゼットの中に
最悪な思い出と共にしまい込んでいた。

A「…阿鳥くんに合わせる顔がないよ」

あんだけ吐き捨てて
結局は…同族嫌悪だったなんてさ。

A「………」

クローゼットからカメラを取り出して
再び、机の上に戻す。

A「向き合わないと、進めないのかな…」

わかってる。心の中では。

A「でも…撮りたいと思えない…」

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作者名:麦兎 | 作成日時:2019年6月25日 0時

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