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第二章:嫌いなお客様/社会人経験者 ページ5

A「阿鳥くん、
フロント当番代わるよ」

阿鳥「うん、俺から言わなくても
ちゃんと5分前行動してるね。偉い」

私が後輩になった途端に
フランクになった阿鳥くん。

年齢は私よりいくつか上だけど
近いっちゃ近いし、

そもそも現世でも無い場所に来てまで堅苦しい
人間関係を築きたくは無い為、
私は客の時から
変わらずに喋りやすい喋り方をしている。

客の時と違うとすれば、“阿鳥さん”ではなく、
“阿鳥くん”と呼ぶようになった。

阿鳥「口調もずっと気怠そうなタメ口だったから少し心配してたけど…接客は問題なかったね」

A「社会人経験者だからねぇ。それくらいの
一般常識は身に付いてるつもりだよ。
……気怠そう?」

阿鳥「うん。ずっとやる気無い顔してるし」

A「顔もか…」

阿鳥「接客スイッチ入るから仕事中は大丈夫」

A「それ、いいのかな?」

生前も、普段から私はこうだったと思う。
こうなる前は…どうだったかな。

でも、死んだ日がキッカケで
表情の乏しさが悪化しているのは確かかも。

阿鳥「少なくとも、
仕事中の顔は音子ちゃんよりずっと良い」

A「あの子は気怠いというより
愛想を振りまくのが苦手なんじゃない?
他人に媚びるタイプには思えないし」

阿鳥「…確かに」

音子ちゃんとは私より少し先輩の女の子。
年齢は下だが、働き始めたのは私より数日早い
ので、一応先輩だ。私とは結構好みが合う。

ちなみに此処には音子ちゃんより更に幼い
ルリちゃんという先輩もいる。厨房担当で
毎日おいしいごはんを作ってくれる可愛い子。

A「此処は暇過ぎて体力持て余すね。
自発的に仕事を探さないと発狂しそう…」

阿鳥「わかる。俺もそうだったから」

A「接客業の経験はあっても…
今のところあまり発揮できてないし」

阿鳥「なるほど、だからスイッチ入るんだね。
接客業はメンタルがキツくなるけど
Aちゃんなら心配いらないかな」

A「どういう意味」

阿鳥「メンタル強そう」

A「……異常とはよく言われる」

阿鳥「異常なの…」

阿鳥くんに苦笑された。

阿鳥「じゃあ、俺はそろそろ行くから…
もしお客様がいらっしゃった時は、俺か支配人を呼んでね」

A「はーい」

阿鳥くんも次の仕事に向かう。

私は働き始めてから阿鳥くんに仕事について
学んだが、まだお客様を迎えた事がない。

此処は客がなかなか来ない。
従業員は少ないがそれでも暇。

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作者名:麦兎 | 作成日時:2019年6月25日 0時

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