第四章：孤独の葛藤/お願い ページ40
全て思い出し
決心が付いた富島様。
とても清々しい笑顔だ。
富島「お世話になったわ。チェックアウトを…」
A「あの！」
チェックアウトの前に、お願いがある。
A「実は、バーで生歌が聴きたいとの
リクエストがありまして…その、もしご迷惑で
なければ…今夜、富島様に歌って頂きたく…！」
富島「バーで、ライブするって事？」
A「はい！」
富島「ライブ…生歌………いいわね」
A「本当ですか！？」
富島「せっかくなら、曲は『毒林檎』に
しましょうか。衣装も揃っている事だし」
A「ありがとう御座います！」
富島「ただ、アカペラは流石に可哀想だから…
そうね。ピアノとドラムとサックスが
いてくれると、歌いやすくなると思うの」
A「『毒林檎』に使われている楽器ですね」
富島「そう。メンバー集まるかしら？」
A「うーん…私は楽器できないけど、
出来そうな人なら何人か心当たりが…」
富島「ああ、貴方に楽器演奏は求めてないわ」
A「うっ…デスヨネー」
富島「ライブの1時間前にバーに向かうから」
A「かしこまりました。
頑張ってメンツ集めますね！」
気合を入れてメンバー集めを開始した。
まずは、バーに向かう。
さっき演奏をしていた大外様なら、
ピアノを弾いてくれるだろう。
…と思ったが、
大外「ピアノを演奏したとして、
僕に何のメリットがあるのかな？」
A「めんどくせぇ」
大外「本性出てるよ」
メリットが無きゃ、やらないのか。
ライブ楽しそう！くらいのノリでやってくれよ…
A「では勝負で決めますか？」
大外「へぇ、何の勝負？」
音子ちゃん情報。
大外様は刺激が大好き。…らしい。
勝負で何かを賭けるような遊びなら
ノッてくれそうと思ったが、正解みたい。
A「花札なんてどうでしょう？」
大外「いいね。でも、そんな物は何処にも…」
A「ありますよ」
以前、暇過ぎて支配人に遊べるものが無いか
聞いたことがある。
そしたら、
部屋から花札を持ってきてくれたのだが…
従業員達はみんな
花札のルールを知らなかった。
支配人も、用意はしたものの役を覚え切れずに
諦めたのだとか。
私は生前に興味を持って遊んでいたから
やり方は知っているし、支配人が好きに使って
いいとプレゼントしてくれたのに……
結局、一人じゃ遊べずに持ち腐れ状態だった。
A「やっと遊べます」
大外「君がやりたかっただけじゃない？」
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作者名：麦兎 | 作成日時：2019年6月25日 0時
