第四章：孤独の葛藤/白雪姫 ページ28
早速、お客様の部屋を
探索し始める。
A「これは…！」
机の上には楽譜があった。
A「
林檎「知っているの？」
A「知っているも何も！
松科琴美、通称ことみん！80年代アイドルの
代表格ですよ！私、大好きなんです！」
林檎「あら、若いのに珍しいわね」
A「このデビュー曲『毒林檎』は初めて
聞いたとき衝撃を受けて…私が昔のアイドルに
興味を持つキッカケになったんです」
現実逃避を求めた少女が
援助交際に手を染める話。
快楽とお金という蜜を得る代わりに
汚れた女と罵られ孤独の毒を浴びる。
その苦痛から逃げる為に更に
毒の林檎を齧り続け、地の底まで落ちていく。
白雪姫をモチーフに描かれているが
この曲の主人公には……
A「運命の王子様がいつか救ってくれると
信じていたけど…そんな人、現実にはいないと
悟ってしまうんですよね。そして絶望の果てに
自殺の道を選んでしまう」
林檎「……」
A「…ああっ！申し訳御座いません！
思いっきり自分の解釈で語ってしまいました…」
林檎「いいえ。(ｸｽｯ」
A「うぅ…」
恥ずかしい。
林檎「それに、間違っていないと思うわ。
私もそう解釈していた気がするもの」
A「そうなんですか？
お客様は、ことみんのファン、とか…？」
林檎「どうかしら。
でも、その松科琴美というアイドルは
私にとっても大きな存在だったと思う」
楽譜を見つけたこと、頭が毒林檎みたいなこと
それらから、まさか…ことみん本人では！？
…と一瞬の期待をしたが違うみたいだ。
だって名前を出しても顔が戻らない。
本人も自分の名前という自覚が無いし。
それに、ことみんは今頃50代半ばだ。
…年老いても若々しいパターンもあるけど。
元アイドルならあり得る？
まぁ…ファン仲間か、ことみん関係者なのかな。
A「それにしても、
ことみん関連の品が多く出てきますね」
林檎「そうねぇ…。どれも大切だった気が
するけど…こんなにあると、私って相当
入れ混んだファンなのかしら」
A「クローゼットの下の引き出し…
鍵が必要みたいです。何かあるのかも？」
経験上、めんどくさい場所にあるものほど
重要だったりする。
A「他には…」
ベッドの横に棚がある。
A「ロックが掛かった箱が3つか」
棚には箱が3つあり
全てにロックが掛かっている。
そして、
箱の上にはそれぞれオルゴールがあった。
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作者名：麦兎 | 作成日時：2019年6月25日 0時
