スクラブ男子

005 嘘をつくみたいに ページ5

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｢名取先生｣


まるで嘘をつくみたいにそう呼ぶのも得意になってきた。みんなの前では他人のフリをして。








｢…な、｣





名取｢名取じゃねーでしょ、なんて呼ぶの？｣





｢…んっ、……そう、ま｣









職場では口を滑らしそうになると睨むくせに、こういう時は名前でしか呼ばせない。

“颯馬”

ここでは聞き慣れないそれが彼の名前で、高校時代からずっと呼んできたもの。だから最初は｢名取先生｣なんて、笑っちゃうくらい可笑しかったけど。時が経てば自然と慣れるもんだね。他人らしい呼び方も、………呼び分けも。









彼の首筋が汗ばんでくる。

夢中でキスを繰り返すわたしたちに、湿った空気と静寂が襲いかかって。その中で、シーツの擦れる音とキスの音がひたすら響いた。









全身に唇を這わせながら、熱い吐息を漏らす彼。スクラブの背中のところを掴んで、スポンって一気に脱ぎ捨てる姿がすごく男の子っぽくて。露わになった素肌が、見とれる暇もなくわたしにぴったりと引っついた。









汗ばんだ肌と肌が擦れて、覆いかぶさってきても尚、繰り返されるキスに酔いしれる。しばらくして、下着に手をかけられたのを感じて腰を浮かせた。









名取｢…っ、A……｣





｢んっ…｣









熱くて、痛くて苦しくて。もう何度目かもわからないこの瞬間に、必死に彼に手を伸ばす。








名取｢ん、ほら…っ、繋いでてやるから。｣









普段なら絶対聞けない、子どもにしゃべるような甘い声で。空中でさまよってた手をぎゅっと捕まえてくれる彼。左手は繋いでてくれるから、右手で必死にシーツを手繰り寄せて。

夢中で揺れ動く彼を、全力で受け止めた。









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