スクラブ男子

032 こんな女 ページ32

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やっと離れてくれた。

やだ！って全力で胸を押したわたしを、どこか切ない目で見つめて。ごめん、って何度も何度も口にする彼が、わたしより苦しそうでイヤになる。









｢………こんなの、｣





名取｢最低だな。｣









わたしが口にするより先に、わかったような顔をして悲しく笑みを浮かべた彼。









名取｢嫌がってる女無理やり抱いて、｣





｢…………、｣





名取｢お前、泣いてんのわかってたのにさ。｣









下着も、ナース服も着させてくれる。乱れた髪もヘアゴムでもう一度束ねて、涙の跡も親指で拭ってくれる。









名取｢……よし、おっけ。｣









まだちょっと目赤いけど、って。

わたしの目を見ながらぽんぽんって頭を撫でる。全部綺麗に整えてくれて、ここに来た時のような格好にしてくれた。子どもみたいに、黙ってされるがままだったわたしは、甘えていたのかもしれない。








名取｢ほら、｣








さっき脱ぎ捨てたスクラブを着て、何事もなかったかのように彼が言う。ストレッチャーから立ち上がって、目も合わない彼の言葉に下唇を噛みながら、また涙がこぼれる前に背を向けた。








扉を閉める前、振り返らずに、横目で彼をうかがう。

ストレッチャーに仰向けになって、小さくため息をついた後。体を小さくして、ごろんって右側に転がって思い詰めたような顔。何を思ってるんだろう。








………もうこんな女いらねーな、って？









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