スクラブ男子

016 失うのが不安？ ページ16

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こうしてキスが途絶えると、２人きりだった世界から一気に引き戻されるかのようで、やっと現実を見る。








ただの居酒屋の廊下。襖を挟んだ向こう側では、どこかの会社員さんたちがわいわいと飲み会をしていて、いつ誰が出てきたっておかしくない状況。

そう思うと急にドキドキしてきて、息がかかるほど近い彼との距離に、今さら汗をかく。








ん？ってわたしを見つめて、何を考えているのかと聞いていた彼は、やっぱりまだ苛立っているように見える。


わたしが伊野尾くんに触られていたのが気に入らなかったのか、それとも…









｢っ、…ちょっと、｣









腰に手を回されたと思ったら、一瞬にして引き寄せられて、また彼の腕の中。わたしの首元に顔を埋めて、






名取｢…あいつの匂いすんだけど、｣






なんてまた不機嫌な口調。その嫉妬みたいな言い方、いろいろ苦しいからやめてほしいんだけどな……、危うく勘違いしそうになるし。







名取｢あんな嫌がり方してたら食われんぞ。｣






首筋に舌を這わせて。






｢っ、……そんなことないも、ん｣






ちゅ、って唇を押しつけてきて、くすぐったくて身をよじる。






名取｢あるから言ってんだろ。どっか連れこまれて無理やり抱かれたりしたらどーすんだよ…｣









心配？

それとも、また繋ぎとめてる？






満たすためだけの女を失うのが不安？

ごくりと飲みこんだ想い。いつかどうしようもなくなって、彼にぶつける日が来るのだろうか。









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