002 夢と現実の狭間で ページ2
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大貴side
こっちに来て数時間。
母ちゃんからの『宿題持っていきなさいって言ったのに』って怒りスタンプ付きのメッセージはスルーしつつ。縁側で昼寝をしたり、ゲームしたり、夏休みを存分に満喫していたそんな午後。
大貴「うわ、大丈夫かお前。」
人もまばらなビーチを散歩していると、小さくて綺麗な魚がピチピチと跳ねているのが見えた。
美しい鱗には砂が付いてしまっていて、よっぽど苦しいのか息も絶え絶え。なんだか可哀想になって。普段は魚なんて触れないくせに、この時ばかりは咄嗟にすくい上げて、海水を入れたバケツに泳がせてあげた。
大貴「ねぇじいちゃん金魚鉢あるー?」
鱗に少し傷がついてしまっていたし、なんだかこのまま海に放すのも可哀想で、連れて帰ってきてしまった綺麗な魚。体も小さいし、金魚鉢ならしばらくは暮らせるかな、って。
祖父「少し小さいか?」
大貴「ううん、十分だよ。ありがとう。」
じいちゃんが倉庫から出してきてくれた金魚鉢を丁寧に洗って、さっきの魚をそこに放す。
ヒラヒラと背びれを動かし、元気に泳ぎ回る姿を見て安心した俺は眠気に襲われ、そのままテーブルに突っ伏して眠ってしまった。
そして次に起きた時にはもう、
大貴「あれ?じいちゃんさっきの魚知らない?」
祖父「ん?」
大貴「おかしいな、ここに入れてあったんだけど……」
木製の古いテーブルには、空っぽの金魚鉢だけがぽつんと残されている。
金魚鉢の水を捨てながら、さっきのは夢なのかと疑うけれど、確かに金魚鉢はここにある。じいちゃんも見てたはずだし。
金魚鉢を見つめ、夢と現実の狭間で揺れる俺を、じいちゃんが裏の倉庫から呼んだ。そして金魚鉢は片付けられ、夢かどうかもわからないまま、不思議な出来事は終わりを告げたんだ。
これが全ての始まり。
かけがえのない君との、最初の出会いだった。
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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます!大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます!いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2020年6月28日 15時