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029 教えてくれた『夏』 ページ29

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8月27日。

人間の世界、3日目。









「……あ、」







パリン、と音を立てて縁側に散らばった破片。

遠くからパタパタと足音が聞こえて、あっという間に顔を覗かせた大貴くん。









大貴「あぁ、風鈴か。」





「……ごめんなさい、」





大貴「大丈夫だよ。怪我しなかった?」









破片を慎重に拾い集めながら、真っ先にするのはわたしの心配。この優しさが辛くなる。叱ってよ。大事なものなのにって、









“これなあに?”





“ん?あーこれはね、風鈴って言うの。”





“ふーりん?”





“そう。風が吹くと、こうやって綺麗な音が鳴る。”





“へぇ……、”





“ちょっと涼しくなるでしょ?”









大貴くんが教えてくれた『夏』だったのに。

日差しに照らされた透き通ったようなブルーが綺麗で、手を伸ばしたらうっかり落っことしてしまった。









大貴「なぁに。そんな気にしなくて大丈夫だって、」





「でも…、」





大貴「Aが怪我しなくてよかったよ。これくらい、また買えばいいから。」









まあ別になくてもいいんだけどね、って。

にこっと笑った大貴くんは、いつの間にか破片を拾い終わっていて、仕上げをしようと掃除機を持ってきてくれていた。片付け方もわからないわたしは、ずっと見ているしかできなくて。申し訳ない気持ちと、動転したままの心。どこか余裕な大貴くんとは、随分と対照的だった。





















「お願いします、」





「本気なの?あげるって言ってんだから持ってけばいいのに(笑)」





「だめです、それは。」









その日の夕方。近くのかき氷屋さんまでひとりで歩いてきたわたし。店員のお兄さんは、不思議そうにわたしを見てにっこりと笑った。









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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます!大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます!いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2020年6月28日 15時

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