センセイ失格(２)

069 積もりそうで ページ20

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｢…んん、…は……なして、｣






有岡｢わかったわかった。｣









テキトーに言いくるめられて連れてこられた保健室。こんな、先生が生徒を抱っこしたなんて、知れ渡ったらきっと噂になりそう。





でもそんなのこれっぽっちも恐れないで笑ってる先生がやっぱりかっこいいし、また好きが大きくなる。先生、わかってるの……？









有岡｢いのちゃーん。｣







わたしを抱っこしたまま、器用に扉を開けて先生が言う。








伊野尾｢んぇ、どしたの。｣






有岡｢んー、なんか。ぶっ倒れたから運んできた。｣






伊野尾｢抱っこして？｣






有岡｢ん？うん。｣









それが？

みたいな口調で聞き返す先生。





いやいや、って笑いながらカーテンを開ける伊野尾先生の反応が、きっと世間的には正しいんだろうけど。









伊野尾｢お熱あがっちゃったかなー…体温計体温計、｣





有岡｢ほら、A下ろすよ。｣









抱っこされてた体を、よいしょって優しくベッドに下ろしてくれる先生。ずっと喚いてたくせにね、……黙っちゃって。







有岡｢何だよ、｣








頭の後ろに手を添えて、枕にそっと預けてくれる優しさにキュンとして。あぁ離れたくないな、って思っちゃったの。





首に回してた手に、きゅ…ってちょっとだけ力を込めた。









有岡｢ほら、離して。｣





｢ん、…｣





有岡｢ぼーっとしてんだろお前。大丈夫かー？｣









ちょっと笑いながら、優しい声ばっかり耳に届く。先生はそっと自分の首から手を離して、優しくベッドに置いてくれた。







よしよし、ってわたしの前髪を少し直してからカーテンを閉めた先生に、また好きが積もりそうで。ここまで弱ったの久しぶりで、ひか呼ばなきゃかも…って意識の片隅で考えてから、深い眠りに落ちていった。









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