センセイ失格(２)

097 先生失格 ページ48

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｢わ、わかんないよ。……何も言われてないし、｣





有岡｢そっか。好きです！付き合ってください！がないとわかんねーか。｣









おこちゃまだなぁ、って。

わたしの頭を撫でながら笑う先生。顔をクシャクシャにして。もう。









｢おこちゃまだもん。わかんない。｣





有岡｢怒んなって、｣









ちょっとムキになったら、また先生が大人みたいな顔をしてそんなことを言う。









有岡｢好きだよA。俺と付き合って。｣





｢っ、！｣









膨れたわたしに向かって、不意に真面目なトーンでそんなこと言うから。びっくりして動けなくなってしまう。唇を噛み締めて、また泣きそうになる気持ちをぎゅっと抑え込んだ。いざ言われると何も返せない自分が、まだまだ子どもだなって言われてるみたいで悔しいけれど。








有岡｢言ってほしかったんじゃねーのかよ(笑)｣









無視ですか、お嬢さん。

なんて笑いながら覗き込んでくる、してやったり顔の先生が憎い。でも幸せだ。これ以上ないくらい。また涙が溢れてくる。先生の顔がぼやけて見えなくなる。









有岡｢まーた泣く。｣








呆れたように笑って涙を拭おうとする先生に抱きついたら、驚きながらも受け止めてくれた。









｢…………こんなに泣かせて、先生失格だ。｣






有岡｢そんな先生に惚れたの誰だよ。｣






｢っ、……うるさい。｣









わたしを抱きしめる腕が、キュ、ときつくなる。

こんな未来、誰が想像できただろう。







青空の下、先生とこんなにも笑い合える日が来るなんて。







だけど明日からは気をつけなくちゃ。

大好きな彼を、『先生』と呼ばないように。









｢ センセイ失格 ｣ fin.









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