センセイ失格(２)

071 遊びなら ページ22

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伊野尾side









スースー寝息立ててるAちゃんのいるベッドをカーテン越しに見つめて。はぁ、ってため息ばっかついて。








伊野尾｢で、どこまでやったの？｣





有岡｢やってねーから。｣





伊野尾｢でも抱っこしてんじゃん、｣





有岡｢それは仕方なかったの。｣









たばこ吸いそうな勢いだけど。

やめてよ？いま弱ってる子寝てんだから。









伊野尾｢ちゅーした？｣





有岡｢…………｣








…え？









伊野尾｢したの！？｣





有岡｢もー………うるせーって。｣








起きるからまじで…、って。いやいやいやいや、聞き捨てならんのだけど。





いつの間にやることやってんだよ………手ぇ出さないとか言ってたくせにさ。









伊野尾｢いつ。｣





有岡｢いーだろ別に、｣





伊野尾｢もー……知らないよ？戻れなくなっても。｣








踏み出しちゃったら、抜けるの大変なのに。それ一番わかってんの大ちゃんでしょ。Aちゃんのためだからって、心ごとぜーんぶ奪ってから離れるとか、ナシだからね？









伊野尾｢このままやっちゃう感じ？｣





有岡｢だからしねーって。大丈夫。｣





伊野尾｢そんなのいつだって覆せんじゃん。ほんとはチューすらしないでおこうって思ってたんじゃないの？｣





有岡｢………｣





伊野尾｢Aちゃんが求めてきたのか大ちゃんのタガが外れたのか知らないけどさ。このままいったらAちゃん、大ちゃんしか見えなくなるよ？｣









黙りこくって。

ため息だけついてどこかを見つめている大ちゃん。





こんなこと、言わなくたってわかってんでしょ。止められなくなってる自分にも、ちゃんと気づいてんでしょ？









伊野尾｢……生徒だからとか、言わないけどさ。遊びならやめなよ大ちゃん。｣







下唇を噛む横顔。遊びじゃないことくらい俺だってわかってる。









有岡｢………俺さ、幸せにはできねーよな。｣








ほら、困ったように笑いながら、そんなこと口にするんだから。









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