センセイ失格

009 ミスった ページ9

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めんどくさそうに通話を切ってポッケにしまったスマホの代わりに、指先にたばこを挟む。








｢……ねぇ、｣





有岡｢あ？｣





｢…っ、｣





有岡｢、あーごめん。………送ってくわ。｣








びくってしちゃった。突然｢あ？｣なんて言うから。さっきまでふつうな顔して聞いてたのに、いざ自分に降ってくるとびっくりするもんだね。先生もミスった、って顔してるし。さっきからそんなのばっかり。





さっきまで話してた女の人とごちゃ混ぜになってるんでしょ。適当に返事してから気づくんだもんね。あーミスった。生徒としゃべってるんだった、って。









｢………いい、ここで。｣





有岡｢だめ。もう暗いから。｣





｢大丈夫だよ、そんな遠くないし。｣





有岡｢だーめだって。あぶねーから、ほんと。｣








今から会う人のために、さっさと帰ってほしい生徒のことなんか、なんで構うの。ほら、そういうの見せちゃうから、だめなのに。







｢大丈夫。｣





有岡｢や、絶対だめ。｣





｢帰れる！｣





有岡｢だーめだって。まじで、頼むから送らせて。｣







こんなに暗くなってから、お迎えないの初めてだっけ。いつもは、必ず待っててくれ………





｢あ、｣





有岡｢ん？｣





｢ひか！ひかぁ！｣









レンタルショップの袋をぶら下げた幼なじみの姿が遠くに見えた。ぶんぶん手を振るわたしを見つけて、呆れたように笑ってる。





ごめんね。今日は送ってください。先生に予定ができました。








｢ひかに送ってもらう。｣





有岡｢ん。ちゃんと家までな？｣





光｢なんでお前にそんなこと……｣





有岡｢いーから。頼んだよ、ひか。｣





光｢だからそう呼ぶなって。…ったく、｣









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