センセイ失格

045 滴をすくって ページ45

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ごめんね？

と少し屈んで、顔を覗き込んでくれる涼介くん。





心配そうな目と、不安でいっぱいの表情に、わたしのほうが謝りたい気持ちでいっぱいだった。よしよししてくれる手のひらも、今日はいつもと違ってどこかぎこちなくて。さっきの気にしてるんだ…って嫌でもわかってしまう。





早く止めなければと頬の滴を自らすくって、大丈夫だよと笑おうとした、その瞬間だった。





突然降りかかった声。涼介くんへ向けられたぶっきらぼうな一言は、わたしの胸にじんわり溶けていく。







涼介｢………なんでいるんすか、｣





有岡｢んー、わかんね。わかんねーけどA泣いてっからさぁ。｣





涼介｢A、って……｣





有岡｢いーんだよ。俺だけは許されてんだから。｣









なぁ？って。

にんまりと笑いながら、わたしを見る先生。





どうしてここにいるの……？悔しいけれど、でもやっぱり急にドキドキしてくる自分の心臓が、嫌でも物語ってる。






……わたしはこの人が好き。誰に何されても今は、きっとこの人しか見えない。







涼介｢………いってくるね。ほんと、ごめん。｣





｢、ううん。………がんばって、｣









笑ったつもりだったのに、頷いた涼介くんの顔がすっごく苦しそうで。きっとわたし、笑えてなかったんだろうな、って。





何かを振り切るように駆け足でチームメイトのところに向かっていく涼介くんの背中を、複雑な気持ちで見つめた。









有岡｢で、お前は何触られてんの？｣




｢…………｣




有岡｢ぼけーっとしてたら抱きしめられてたってか？｣









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