005 一言で ページ5
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有岡「いいんじゃん?お前が好きなら。」
「、うーん…」
口では「付き合え」っていうのに、いつもそうさせてくれない何かがある。もしかしてわたしのこと……ってバカみたいなことを考えてしまうほど、先生は思わせぶりな態度が上手。
「……好きじゃなくても、」
有岡「ん?」
「好きじゃなくても、付き合うことってあるの?」
会議室の机にファイルの山をどっさり置いて、早々に部屋を出て、ため息をつきながら鍵をかける先生の横顔に、自分でも意味のわからないことを聞いてしまった。
あー聞かなきゃよかったなって、後から思ったの。先生の思ってること全部、ふわふわと宙に浮いてしまいそうなほど、軽々しいものだってちゃんとわかってたはずなのに。
有岡「あるよ、そんなん全然ある。」
「、……あるんだ。」
有岡「まぁ、いろんな事情があんだよ。大人になるとな。」
お前はまだわかんなくていいの。ってにこにこ笑いながら、わたしの頭をぽんっとする。人差し指に鍵をひっかけて、くるくる回しながら歩き出した先生のこと、すぐには追いかけられなかった。
好きじゃなくても付き合う、そんな事情……確かにわたしにはまだわからないと思った。だって現に、決心できないまま今もずるずる引きずってる。どんなに好きでいてくれても、やっぱり思いが募っていくのは先生ばっかりで。
絶対振り向いてくれないってわかってるのに、傍にいるだけでいいなんて理由つけてずっとここにいるんだ。
有岡「何してんの。ほら、行くぞ。」
「……うん、」
ちょっと離れたら、こうやって待っててくれる。傍に来るまで立ち止まって、ゆっくり歩いて、わたしが追いつけるように。ずるいなんて一言で片付けられたら、とっくに嫌いになれてるのに。
こんなふうに優しくされて、ちょっと甘えさせてくれただけで、心臓がぎゅうぎゅう潰されてるわたしはきっと手の中で遊ばれてるだけ。でもそれでもいいって思っちゃうから、
……もう末期なんだろうね。
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大貴中毒 - むぎさん» 返信ありがとうございます!嬉しいです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年3月22日 23時) (レス) id: ab6d3a5edb (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - 大貴中毒さん» ありがとうございます(^ ^)ほんっとに涼介くん一途です(笑)このお話では涼介くんのピュアさ全開でいきます(笑) (2020年3月15日 15時) (レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
大貴中毒 - むぎさんの作品すっごく面白いです!涼介くんが一途なところめちゃくちゃいいです!お話の更新頑張ってください。 (2020年3月14日 2時) (レス) id: ab6d3a5edb (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - りのさん» ありがとうございます。嬉しいです(^ ^)更新がんばりますね♪ (2020年3月3日 14時) (レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - むぎさんの作品が大好きです!これからも更新を楽しみに待ってます♪ (2020年2月16日 16時) (レス) id: e6fd1d12b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2020年1月12日 13時