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035 きらいになった ページ35

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息を切らした掠れ声。

怒りを抑えてるような、先生の低い声。






有岡「なぁ、離せっつってんの。」





「…………」





有岡「聞こえねえ?」







背筋が凍りそうな、そんな言葉を吐いた途端。ちって小さな舌打ちを残して暗闇に消えていった気味の悪いおじさん。





その背中を、冷たい目で睨みつけて。









有岡「何もされなかった?」






コクリと頷いたわたしを見て、そっか、って少しだけ安心したように表情を緩ませる先生。







「……なんできたの、」





有岡「んー?」







わたしの頭の後ろに手を添えて、ぐって引き寄せて自分の胸に押しあてるように抱きしめてくれる。すっごく大事そうに、してくれて嬉しいのに。







「……きらいになったもん、さっき。」





有岡「うん。」








先生がいつも吸ってるたばこの匂いに包まれて、ゆっくりゆっくり落ち着いていく心。







「別に、怖くなかったし…」








強がりしか出てこないわたしに、「はいはい。」って笑いながら。優しい声と、背中をとんとんしてくれる大きな手。本当は大好きで仕方ないその仕草と声に、いつまでも抱きしめられていたいのに。







「離して…っ」








抱きしめられてた腕からするりと抜けて、また夜道をずかずか歩く。泣きながら。何に対しての涙かわからないまま。





もう家まで50メートルくらいしかない。ひとりでいい。でもまた追いかけたらわたしが怒るって、そうわかってたからかな。大人な先生はもう、待てなんて言わなくて。





その場所から動かないで、わたしが家に帰るまでずっと、見守ってくれてたの。………全部知ってたよ。








本当は怖くてたまらなかったのに。いつもなら好きなだけくっついていたのに。今日はできなかった。






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大貴中毒 - むぎさん» 返信ありがとうございます!嬉しいです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年3月22日 23時) (レス) id: ab6d3a5edb (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - 大貴中毒さん» ありがとうございます(^ ^)ほんっとに涼介くん一途です(笑)このお話では涼介くんのピュアさ全開でいきます(笑) (2020年3月15日 15時) (レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
大貴中毒 - むぎさんの作品すっごく面白いです!涼介くんが一途なところめちゃくちゃいいです!お話の更新頑張ってください。 (2020年3月14日 2時) (レス) id: ab6d3a5edb (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - りのさん» ありがとうございます。嬉しいです(^ ^)更新がんばりますね♪ (2020年3月3日 14時) (レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - むぎさんの作品が大好きです!これからも更新を楽しみに待ってます♪ (2020年2月16日 16時) (レス) id: e6fd1d12b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2020年1月12日 13時

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