センセイ失格

012 それっぽく ページ12

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伊野尾side









まーた付けっぱなしかよ。

……っとにもう。こんな時間に電気ついてる保健室ほかにある？






生徒なんて誰もいないはずの校舎。すっげー長引いた会議がようやく終わって、凝り固まった肩をぐるんぐるん回しながら扉を開ける。ガラスから漏れてた光が、今度は廊下に差し込んだ。








有岡｢………おっせえ。｣








ふふ。もうね、笑いがこみ上げてくる。だってさ、どうなの？体育教師がこんな時間まで保健室に居座って、たばこ吸いながらベッドに寝っ転がってさ。









伊野尾｢あれ、かわいこちゃん帰した？｣





有岡｢………｣





伊野尾｢大ちゃんが送ったの？｣





有岡｢……彼氏、じゃねーや。なんだっけあの、｣








あー、彼氏じゃないほうね。あの幼なじみくんだ。すらっとしてる、誰だっけ。









有岡｢………ひかだ、ひか。｣





伊野尾｢、(笑)｣









白いけむりを吐きながら、だるそうにつぶやく大ちゃんの背中。ったく、見つかったら俺まで怒られんのにさ。わかってんのかね、このクズは。









伊野尾｢なんで帰したの？｣





有岡｢なんでって、｣





伊野尾｢女と会う約束？｣





有岡｢……まぁ、それっぽく。｣








あー、なるほどね。そういう雰囲気つくって、帰りなさいと。でもそろそろ限界なんじゃねーのかな。いっつも、会議の準備だかなんだか知らないけど、誰でもいいような仕事｢副会長だから｣って呼び出して。

よく食わずにいんね。大ちゃんにしたらすげーよ。









有岡｢……んなさぁ、手ぇ出せねーじゃん。｣





伊野尾｢大ちゃんでも？｣





有岡｢……うっせ。｣









あはは、かわいー。









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