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003 罰 ページ3

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真っ直ぐにわたしを見つめる彼の潤んだ目に、罪悪感ばかりが募った。彼の茶色い瞳の中で、わたしもユラユラと揺れている。






大貴「理由、言ってよ。」




「…………」




大貴「……嫌いになったの?」








声も震えている。

そんなこと、あるわけがないのに。









大貴「引っ越すから?」




「………、」




大貴「なんで。隣町に行くだけだろ?別に会おうと思えばいつだっ…」




「会えないの!!」









ぴしゃり、と再び時間が止まった。

電灯に照らされた彼の寂しそうな顔が、わたしの瞳にも映る。ずっと堪えていた涙が、ぽろぽろと零れ始めた。









「会えないの。もう会えない。」




大貴「何言ってんだよ。」




「もう終わりなの。」




大貴「だからなんで。」




「………」




大貴「………言えない、か。」









ずっとこちらを見つめていた彼が、姿勢を直して前を向く。呆れたのだろうか。彼は小さくため息を吐き、寒そうに鼻をすすった。その横顔すら愛おしくてたまらない。大好きだよ。こんなにも。









大貴「わかってたよ。いつかこうなるって。」




「…………、」




大貴「会いたいって言うの、いつも俺ばっかでさ。」




「そんなこと…」




大貴「一度も言ってくれたことないよね。好きって。」




「っ、」




大貴「俺ばっかり。俺ばっかり好きなんだよ。」




「だから、ちが…」




大貴「じゃあなんで!!」




「っ、」




大貴「なんで急に、別れようなんて言うんだよ。嫌いになったならそう言えよ。もういらないって。鬱陶しいって。それとも、…………最初から好きじゃなかっ、」




「違う!!…………それは違う、」









不意に叫んでしまった。

初めて聞いた大貴くんの本音。こんなに感情的になってる大貴くんを見たのも初めてだった。目に涙を浮かべて、何故だとわたしに問いかける大貴くんは、すごく真剣だった。




大貴くんのことが好きだと、一度でも口にできていたら変わっていただろうか。本当はずっと不安だった?告白してくれた時も、好きだと言ってくれた時も、大切に愛してくれた時も、ずっと?




好きだと伝えてしまったら、正直になってしまったら、本当に本当に別れがつらくなるから。いっそ嫌われるくらいじゃないといけない。半年間、冷たい女に映っていたのならそれでいい。





これは大貴くんの優しさに甘えていたわたしへの、罰だ。






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いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました!!ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 好きすぎました!!めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです! (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます!めちゃくちゃ幸せでした!またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました! (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2019年12月1日 12時

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