センチメンタルパレード

012 名前 ページ12

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７月２日

[入学して１週間。

今日から大貴くんと呼ぶことになった。]







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いつもは授業が始まるとすぐに眠る彼が、今日はめずらしく起きている。







｢今日は寝ないの？｣




大貴｢うっせ。｣








振り返った有岡くんがケラケラ笑う。

なんか、かっこいいなぁ。ネクタイちょっと緩いし。たまに先生に怒られてるけど、それでも曲げない根性みたいなのも可愛い。プリント渡すために振り返ってくれたり、そういう仕草だけで少しキュンとする。








大貴｢いっつも寝てるわけじゃねーよ。｣




｢いっつも寝てるよ？｣




大貴｢…………｣




｢、有岡くん？｣









笑ったわたしを見つめたまま、固まったように動かない有岡くん。

声をかけると我に返ったようにハッとして、大きな目をきょろっと見開いている。









大貴｢あのさ、有岡くんってのやめない？｣




｢え？｣




大貴｢大貴でいいよ。みんなそう呼んでるし。｣




｢…………｣









今度はわたしが固まってしまった。

それを見て慌て始める大貴くん。









大貴｢い、嫌ならいいんだよ！全然、有岡でも有岡くんでも、チビでもお前でも何でも…｣




｢わかった。大貴くん。｣




大貴｢っ、｣









えっ、って。

どうして驚いてるの。また目を見開いて、耳まで少し赤くして。先生に｢有岡！｣って注意されて前を向いちゃったけど。こういうの、なんか懐かしい。高校生って宝物だ。こんな日常がぱったりなくなることを、当時は恐れてなんかいなかったから。









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