048 残したいもの ページ48
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「どうして、大貴くんが………」
大貴「お前こそ、なんで?」
「飲み会に顔出すんじゃなかったの?」
大貴「いや、ごめん。あれは嘘。ずっと言わなかったけど、ほんとは俺にもあったんだ。書いた覚えのない予定。しかも俺の字じゃないだろ?これ。」
そう言って見せてくれたのは、今までどこにしまっていたのか、わたしが使っているものと全く同じ日記帳だった。
「これって……、」
大貴「Aの字、だよな。」
日記の、一番最後のページ。
今日のところに書かれた予定は、紛れもなくわたしの字だった。
大貴「俺、父ちゃんが辞めてからここ継いで、経営者になっただろ?だけど、なんで継ごうと思ったのかがどうしても思い出せなかった。何かに導かれるように大学に行って、経営の勉強して。なんのためにこんなに必死になってんのか、ずっとわかんなくてさ。」
「わたしも。イルミネーションの仕事につきたいと思った理由がわからない。どうしても思い出せない。でも、ひとつだけわかるのは………」
ユウリ「残したいものがあった。」
突然現れて、わたしたちに話しかける小さな男。
大貴「誰?」
「あ、あなた!」
ユウリ「どうしても残したかったんでしょ?この遊園地も、メリーゴーランドも。誰のため、何のため、なんて考えもせず、2人とも必死になって。」
「ど、どういう……」
ユウリ「君がこの遊園地の経営者になって、夜間の営業を始めようと決めたことも、君が今の会社に入って、この遊園地のイルミネーションを担当したのも、そのプロジェクトをきっかけに君たちが出会って結婚したのも、全部偶然だと思ってる?」
何もかも知っているこの人は、一体何者なの……
ユウリ「叶わない恋に落ちてしまった2人は、あの日から10年後の今日、ここで運命の再会をする。」
「……?」
ユウリ「はずだったのに。何結婚してんの。」
大貴「は?」
ユウリ「君たちは、僕の手助けがなくても、自分たちの力で再会して、恋に落ちたってこと。」
「再会?」
ユウリ「まったく。僕の優しさ返してよ。………せっかくこの日だけ消さずに残しといてあげたのに。」
「さっきから、何の話?」
ユウリ「さあね。じゃあ、末永くお幸せに。」
小さな可愛らしい男は、一方的にペラペラと話して、どこかへと消えてしまった。
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いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました!!ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました!!めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです! (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます!めちゃくちゃ幸せでした!またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました! (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2019年12月1日 12時